演目豆辞典

大衆演劇では様々な題材が取り上げられており、黎明期である江戸時代から、人気のある演目というのがいくつも生まれています。ここではそういった演目や題材について少しだけ説明します。もっとよく知りたくなったら、劇場に足を運んでみてはいかがでしょうか。ただ、劇団ごとに演出や脚本がアレンジされていることもありますので、その違いを見極めるのも観劇の楽しさの一つです。細かい用語などについては大衆演劇豆辞典をご覧下さい。

このページでは「ま行」の項目について解説します。

  • 瞼の母
    まぶたのはは

    番場(現在の滋賀県米原市)の忠太郎は、5歳の時に生き別れになった母親を探して旅をする渡世人。ある時、仲間の半次郎の身を案じて武州金町(現在の東京都葛飾区)に向かった忠太郎だが…。

    長谷川伸原作の戯曲で、1930年に発表された、長谷川の代表作とも言える作品です。長谷川自身も実母と生き別れており、再会を果たしてから数年は上演されなかったと言います。その間に講談や浪曲でも大人気となりました。

    参考リンク:瞼の母(青空文庫)

    • 番場の忠太郎
    • 飯岡助五郎
    • お登世
    • お浜
  • 明治一代女
    めいじいちだいおんな

    花井お梅は、気っぷのいい美貌の人気芸者。歌舞伎役者四代目澤村源之助と恋愛関係にあったが、源之助の過程を思って身を引くことにする。しかしお梅は源之助のことが忘れられず…

    いわゆる毒婦もののひとつで、明治時代に実際に起こった事件がもとになった話です。お梅はその後この事件を自ら演じて回り、他の劇団がこの芝居をしていると、客席から野次を飛ばしたそうです。「明治一代女」は川口松太郎がこの事件を脚色したものです。

    • 花井お梅
    • 峰三郎
    • 澤村源之助
  • 森の石松
    もりのいしまつ

    清水の次郎長の配下だった侠客で、隻眼ながらもめっぽう喧嘩に強い。けれどもどこか抜けているという愛嬌ある人物です。石松ものでよく描かれるのは、次郎長から金比羅参りの代参を命じられ、清水湊から四国の高松の間を旅するという物語です。特に大坂から船に乗った石松が、旅人と話をする「石松三十石船」のくだりは有名です。「江戸っ子だってねえ、食いねえ、寿司を食いねえ」というセリフはどこかで聞かれた方も多いのではないでしょうか。ちなみにこの寿司は、事前に石松が大坂で寿司を買っていることから、押し寿司であるというのが有力だと見られています。

    実際には存在した人物かどうかはよくわかっていません。豚松という人物も子分にいたと言う話も混乱に拍車をかけます。そんなわけなので、石松のどちらの目が見えなくなっているのか、ということすら実はよく分かっていません。劇団によって違っていたりするのも見所かも知れません。