お芝居小屋探訪其の二十六芝居茶屋真正座オーナーは小林真総座長！手作り空間で美味しく楽しく（広島県福山市）

劇場は昔から持ちたいと思っていたんです。
出来れば僕の地元である広島に作りたい。それは僕のお祖父ちゃんの夢でもあって、幸い良い場所が見つかって。

劇場名は、僕の名前と、亡くなった弟の正利（まさとし）の名前から名付けました。亡くなった弟の名前を残してやりかったんです。

このコロナの大変な時期でよく開いたねって言われるんですけど、コロナだったので劇場作りに動けたというのもあるし、ピンチはチャンスで夢が叶いました。

物件は福山の友人たちが情報を提供してくれて、見つけることができました。業者さんに頼まず、ほぼほぼ自分たちの力で作った劇場なので、心がこもってます！（笑）

いま、どこも座員さんが減ってきてるでしょう。だから舞台の上手下手を行き来せずに、1カ所で完結できるように、音響、電気、緞帳、雪降らし、中幕などの操作を下手に集中させたんです。そこをすごく考えました。

やってくれた人は大変だーって言ってたんですが（笑）、劇団さんがやりやすいように、お客様にもきれいに見ていただけるように、出来ました。

そうですね。まずは地元の方に可愛がってもらいたいです。以前は福山に3～4か所あったんですよ。ヘルス共和国Z、夢劇場、第一劇場…。広島全体だと海田温泉、矢野温泉、清水劇場など、どんどんなくなってしまいました。だから福山に大衆演劇の魂を！という思いが強いです。

野望を言うと果てしないのですが（笑）、役者さんに仕事を提供できる場所を守りたい。この劇場を通じて、お客さんに大衆演劇を覚えてもらいたい、忘れずにいてもらいたいです。

はい。僕は熊本でダイニングバーを経営していたのですが、このコロナの影響を如実に受けてしまって。そんな時、小林真総座長から声をかけていただいたのがきっかけです。
福山は、むかし警備会社に勤めていた時によく行っていて馴染みのある町で、一緒に物件探しもしました。

10年くらい前、山口のくだ松健康パークです。ゴルフなどで利用していたのですが、同じ入館料で観られるしって、ふらっと舞台を覗いた時、乗っていたのが小林劇団さんだったんです。

大衆演劇は同じ演目でも劇団さんによって違うし、アドリブで変えたりするところが面白いですよね。そこからいろいろな劇団さんを観るようになりました。

はい、何度か（笑）。小林真総座長に化粧をしていただいて片岡演劇道場に出させてもらいました。

まずは舞台の見やすさですね。建物自体の限界があって、舞台をあと10センチ高くしたかったんですが、天井が低いのでこれ以上高いと立ち回りの時、刀が天井についてしまうんです。

内装は2～3人でほぼ毎日やってました。もともと日曜大工くらいのことは出来たんですが、役者の美川フミヤさんがいろいろな工具を持っていたので（フミヤさんは工務店もされているそうです！）貸してもらって、今では一通りの工事ができるようになりましたね（笑）。

結婚式場兼旅館だったんです。

ただ、閉業されてから10年以上経っていたのと、各部屋に物がいっぱいで、すぐに使える状態じゃなかったんです。
大家さんからは「ゴミや物を出してもらえるんだったら、あとは好きにしていい」と言ってもらったんですが、これが一番大変で（笑）、ゴミ処理だけで1ヶ月半かかりました。実はまだ終わってなくて（笑）、ぼちぼちやってます。

基本、地元の方が多いです。もともと福山にはお芝居小屋があったので、大衆演劇好きの方が折込チラシなどを見て来て下さって。遠征の方も少しずつ増えてきましたね。

劇場の隣で大家さんが喫茶店をされていますし、すぐ近くには定食屋、ラーメン屋、中華料理屋もあります。どこも美味しいですよ。

役者さんが使いやすいと言っていただける劇場にしたいです。今も楽屋に荷物スペースや機材を置く棚を作ってます。お客様にもより快適に過ごしていただけるようにしていきたいですね。