木戸番のエッセイ・天職先は大衆演劇!第33回英昇龍編後編~優伎座~(4/4)
「優伎座」に入って16年を迎える英昇龍エースについて、市川英儒座長に訊いてみた。
「昇龍はどんな役者ですか?」
「そうですね。 16歳の時に劇団に入ってきて、若手の時は裏の仕事もしっかりこなし、役者になっても、芸には陰日向なく愚直に一身(心)に取り組んでいます。また、サッカーをしてこともあって、劇団のチームワーク作りにも励んでいます。頼もしいですよ」
「それからの昇龍に期待することは……?」
「うん。これからは自分を応援してくれているお客様を大切にしてほしいですね。また、役者を一生の仕事として、芸の完成に努めて頑張ってほしいですね」
筆者はインタビューをしていて、座長の言った一言が忘れられない。それは・・。
「役者は自分との闘いの日々なんだよ」
さて、このエッセーもアディショナルタイムに入ってきた。最後にエースの夢を聞いてみよう。
「やはり、役者になったかぎりは座長になることでしょうね。でも、その夢が果たせなくても、座長を超える芸を披露したいですね。大事になのは、自分らしさが芸に生きているということでしょうか」
PS
私は、たくさんの座長や役者を見てきた。労せずして、座長になった人もいた。 しかし、どうしても、時代に見放されて、座長になれない役者もみてきた。 そんなとき、ある人の言葉を思い出す。元経団連会長 土光敏夫氏の言葉だ。
「できないのは、能力の限界だからではない。執着が欠如しているのだ」
プロフィール
小野直人
生年月日 | 1953年 |
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1953年 滋賀県大津市生まれ。日本大学・農獣医学部卒業。
小野牧場オーナー、総合学習塾 啓数塾塾長、構成作家(テレビ、ラジオ)を経て、現在は、あがりゃんせ劇場の木戸番として、多くの大衆演劇の劇団や幅白い大衆演劇のファンと交流をもつ。「KANGEKI」で「木戸番のエッセイ」を連載中。
劇団情報
優伎座
2005年2月に座長の市川英儒が旗揚げ。劇団名は、劇団員全員が優れた技(芸)ができるようにと「技」の文字をもじり「優伎座」と命名された。公演によっては座長自身が脇役に回る事もあり、チャンスを与えることにより劇団員全員の芸の向上を目指している。