舞台裏の匠たち第12回アイディア光るオリジナルかんざし浅草「コマチヘア」(2/4)
かんざしの種類
大衆演劇ファンで、推しの役者へのプレゼントとしてかんざしを贈る方は多いです。かんざしにはどのような種類があるのでしょう?
玉かんざし、バチ型かんざし、平打かんざし、つまみかんざし、ビラかんざしなどです。うちはベーシックなデザインも扱っていますが、できるだけオリジナリティのある物を作っています。
これは何という種類ですか?
『チリかんざし』といって、うちでは『チリかん』と呼んでいます。根元がスプリングなので、着けていると、チリチリ動くんです。このスプリングを付けるのが難しく、作れる職人さんが減ってきています。
髑髏や龍が大人気
ユニークなオリジナルかんざしがたくさんありますね。
他と被らない、とんがったデザインを求めるお客様も多いですから。その期待に応えられるようなものを作っています。
うちのアイディアマンの金子さんは、大衆演劇の大ファンなんです。長年観劇しているからこそのアイディアが出てきます。
もし自分がお客様だったら、プレゼントしたいなと思えるかんざしを作っています。また、役者さん側は男性が多いので、男性だったら格好いい系が欲しいかなとか、使う側の視点でも考えます。たとえば、最新作の平打かんざしの『座長』『花形』は、黒もあるんです。
黒だと格好良いと思ってくれるかなと、考えて作りました。もちろんきれい系や可愛い系も作って、バランス良く分散させています。
金子さんは、求人募集をかけていないときに、自ら電話をかけてきたんですよ(笑)。
すごい情熱です!
浅草という土地で働けるのが魅力的でした。お客様の要望を叶えつつ、職人さんと相談しつつ、調整する仕事は、難しいですが、楽しく働かせてもらっています。
髑髏のかんざしも金子さんのオリジナルデザインですが、格好良くて、非常に人気です。
この髑髏のような商品を、うちでは『3点セット』と呼びます。(画像上から順に)前櫛、平打、芳丁(よしちょう)のセットです。平打は頭の後ろに差すので『後かん』とか『後差し』とかも言いますし、芳丁は前に差すので『前かん』と呼ぶ人もいます。
3点セットは、着けるとトータルで格好良くなるので、プレゼントに選ばれるお客様は多いですね。
うちのオリジナルかんざしの特徴は、とにかく派手で、大きいこと。舞台映えするものが喜ばれます。
こちらも格好いいです!
『龍』が名前に入っている役者さんは多いので、龍のモチーフはすごく人気があります。
季節を感じさせるデザインも、よくSNSにアップされています。
はい、雪の結晶のかんざしは予想以上に好評で、慌てて増やしました!
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