かんげき2023年11月号Vol.83
木戸番のエッセイ・天職先は大衆演劇!第27回愛染菊也~劇団紫吹~後編(3/3)
筆者は、菊也に将来の夢についてきてみた。
Q.役者になれば、夢は座長になることではないのですか?
菊也は言う。
『もちろん、座長という響きは魅力的ですが、僕は座長の器ではない。劇団の縁の下の力持ちにありたいし、どこにいても重宝がられる役者でいたいです』
菊也の愛想の良さは天性のものか。菊也の周りにはお客様が集まる。
硬派な芝居と和気あいあいの空気、これが劇団「紫吹」の魅力である。その中心で縁の下の力もちで、頑張っているのが愛染菊也である。 その姿は、輝かしい。
追伸
ラストショーが終わって、大入りの三本締の前に、座長はメンバーを紹介する。 その時に座長は菊也をいじる。 これは座長の菊也に対する「愛情」と「信頼」の証であると筆者は感じている。 菊也もこれに対してボケで返す。
菊也は彼の人生において座長には深く感謝していると思う。
確かに、座長は菊也を何回も助けているし、妻のあかりを舞台に戻したのも彼である。 その座長と菊也の信頼の深さは、筆者にはわかるが、ここでは書かない。
プロフィール
小野直人
生年月日 | 1953年 |
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1953年 滋賀県大津市生まれ。日本大学・農獣医学部卒業。
小野牧場オーナー、総合学習塾 啓数塾塾長、構成作家(テレビ、ラジオ)を経て、現在は、あがりゃんせ劇場の木戸番として、多くの大衆演劇の劇団や幅白い大衆演劇のファンと交流をもつ。「KANGEKI」で「木戸番のエッセイ」を連載中。
劇団情報
劇団紫吹
平成21(2009)年4月、若葉劇団で研鑽を積んだ紫吹洋之介座長が旗揚げ。 座長を中心として個性あふれるメンバーだが結束は固い。 各人の持ち味を大切に生かしながら舞台を繰り広げている。 深みのある人情芝居に定評がある。