KANGEKI2022年9・10月合併号Vol.72

旅芝居ささえびと第4回がんこ座代表取締役・井口光史さん「何よりも、お客さんが来やすい劇場にすること」(3/3)

劇場:大衆劇場 がんこ座取材日:2022年6月18日
旅芝居ささえびと 第4回 がんこ座代表取締役・井口光史さん 「何よりも、お客さんが来やすい劇場にすること」(3/3)

舞台道具は社長手作り

道具制作中の井口さん。劇場横に制作スペースがあります。
 

この5年で、舞台道具もたくさん増えたと思います。

井口

道具は私が自分で作っています。

 

井口さんの手作りだったのですか!

井口

上手にはできないけども、作るのは好きです(笑)。松とか、行灯とか、千両箱とか、草ボカも作りました(取材班注:草むらのこと)。パソコンで画像を検索して、プリントアウトして、それを見ながら作っていくんですけど、なかなかうまいこといかないですね。

形はなんとかできても、絵を描くのが下手なんですよ(笑)。

でも劇団から『これはありますか?』って色々聞かれるんで、そしたら、作らなきゃいかんなぁと。買えば高いしね(笑)。やりだしたら面白くなりました。

道具作りや用事で忙しない日々。「好きで舞台を観ていた頃みたいに、じーっと舞台を観られることは滅多にないけど、時間があれば2階へ上がってちょこちょこ観ています」
井口さん作の草ボカ。謙遜されていましたが、絵にも草むら感があります!
裏には制作日付。こけら落としの日に作られたものでした。
井口さん作の桜
居酒屋エリアの席に置かれた、感染対策の木造パーテーションも井口さんの自作です

10周年も迎えられるように

 

井口さんは、大衆演劇に関わる前はどのような人生だったのでしょう。

井口

野球です。ずーっと野球ばっかりしてました。少年野球から、中学校でも野球、高校でも野球。就職したのは、電電近畿という実業団でした。現在でいうNTT西日本ですね。

22歳まで選手をやりましたけど、怪我で故障してしまって。そのあとも電電関係の色んな部署で働いていて、地元の和歌山に転勤になったときに、出身高校から高校野球の審判をしてくださいと頼まれました。

『いいよー』と引き受けたら、今度は審判の難しさ、面白さにのめりこんで。高校野球の審判を、だいたい20年やりましたね。

そしたら今度は、実業団のチームから実業団の審判をしてくださいと。高校野球と並行して、実業団の審判も20年くらいやったかな。

がんこ座の飲食店エリアの壁には野球コーナーが。井口さんの審判時代の写真が飾られています
2008年には日本野球連盟より審判員功労表彰を受けています
 

選手時代のポジションはどこを?

井口

キャッチャーです。投手には色んなタイプがいるから、キャッチャーがそれぞれの投手の良い所を引き出していかないとね。

 

野球、旅芝居、色んなものに、のめりこんでこられたと思います。井口さんのこれからの夢は?

井口

夢は、やっぱり、この劇場を維持していくこと。今は大変な時期ですけど、10周年も迎えられるようにね。

 

きっと、あっという間ですね。

取材班も昼の部観劇後、他のお客様と一緒に、泉佐野駅までのバスで送っていただきました

取材後記

取材日のがんこ座は大賑わい。しかも、お客様の様子を見ていると“地元の常連さん”の占める割合がすごく高いのがわかりました。

どの劇場も地元のお客様の心をつかもうとするけれど、それがどれほど難しいことか。

「劇団さんがこういう道具が要ると言うので」「お客さんたちがやってほしいと言うから」。

ほな、やりましょか。そんな風に、スイっと相手の心を思い遣る井口さん。身軽でテキパキ、でも飄々とした雰囲気をまとっています。

野球でも投手を思い遣る、名キャッチャーだったはず!

執筆:取材;お萩

劇場情報

大衆劇場 がんこ座

大阪府泉佐野市笠松2-6-36

大衆劇場 がんこ座公演予定

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