劇団暁若座長三咲暁人ロングインタビュー

チームワークと仲の良さが自慢。いつかみんなが座長になれるような劇団に!
夜公演終了後、インタビューに応じて下さった三咲暁人若座長。「暁人祭り」の余韻が残る舞台で、トークも白熱。初めての関西、お芝居のこと、改めてのプロフィール、劇団メンバーへの思いまで、たっぷり語っていただきました。
(目次)
- 自分で劇場に電話?!
- 劇場さんに感謝しかない
- 初関西公演の自己評価は?
- 改めてのプロフィール
- 演出の話。古典と時代性の葛藤
- 団七の葛藤を感じてほしい
- 勘三郎さんが大好きで
- 30分で出来たラスト舞踊
- チームワークと個性
- 若座長によるメンバー紹介!
- 夢はみんなが座長になれる劇団
1.自分で劇場に電話?!
今回初の関西公演とのことでしたが、すごい盛り上がりでしたね!
ありがとうございます。これまでゲストで来たのと、小林劇団さんの朝日劇場公演に1ヶ月お世話になったことはあったんですけど、劇団としては初めてだったので、緊張しかなかったですね。
関西公演はいつくらいに決まったのでしょうか。
4月くらいに言われました。でもどの劇場なのかわからなかったので、僕、色々な劇場さんにお客さんのふりして『劇団暁って乗る予定ありますか?』って電話しまして(笑)。それで星天座さんにかけたら『7月です』って教えてくれました。
2.劇場さんに感謝しかない
実際に公演されていかがでしたか。
まず、星天座さん、メチャメチャ良い劇場です。舞台セットもですし、何よりスタッフさんが良いです。優しくて、劇団のことを一番に考えてくださる。
宣伝についても、劇団がどんなに頑張っても不十分なところがあるのですが、こちらは劇場さんのお客さんがついてくださってますし、劇場さんが一生懸命宣伝してくださって、本当にありがたいです。
本当に終始いいムードで、初めてとは思えませんでした。
スタッフのみなさんが言うんですよ、『うちを踏み台にして、もっと大きいところに乗ってください』って。でも僕らは毎年こちらにお世話になりたいと思ってます。
今日の暁人祭りはまたすごい盛り上がりでしたね。
もー、めちゃくちゃ嬉しいです。
3.初関西公演の自己評価は?
初めての関西で、関西独特だなと思われたことはありますか?
ノリの違いですかね。関東と比べてとか言うのはあまりよくないのですが、正直、関西の方がノリがいいですね。
「関西あるあるだなあ」と思ったことは?
えーと、笑いに厳しいです(笑)
そう思われることがありましたか?
なんでもかんでも笑ってくれるわけではないんです。笑う時はメチャメチャ笑ってくれるけど、笑わない時は全然笑わない。なので、あ、今日はノリが悪いな~~じゃないな、面白くないんだな、って(笑)。
それはお芝居の時でしょうか。
『大当たり高津の富くじ』とかですね。僕は栃木生まれでも、関西弁のお芝居も好きで出来る方だと思うんですけど、みんなはあまり得意じゃないので(笑)、難しかったかもですね。
なるほど、大阪が舞台のお芝居だと、余計に笑いのハードルも上がるのかも…
僕は関西の友達も多いので…、そうそう、今日の中間(お昼公演後の休憩時間)に、二代目恋川純座長が来てくれたんですよ。『元気出しな!』って、わざわざ励ましに来てくれたんです。(なんと!)
来年も声がかかっているのではないですか。
もちろんお声がかかれば絶対来たいです!その先の九州とかにも行けたら、関東に帰った時も新鮮に感じてくれると思いますし。
今月の舞台の自己評価としては何点くらいでしょう。
初めは「大入り」にこだわりたくないなって思ってたんです。芸も乱れるし、いやらしくなってしまう。でも、これだけ(大入りが)出ると、嬉しくて(笑)。自己採点は70点くらいかなー。

えっ!もっと高くていいのでは?
いえ、今月は東京で『新風プロジェクト革新』(7/17池袋ミクサライブでの特別公演)もあったので…通常でしたらもっと色々やりたかったんです。次からはハードルも上がると思うので、調子に乗らず、しっかりやらないとと思ってます!
4.改めてのプロフィール~小さい頃から舞台漬け。舞台のことを考えない瞬間はない
質問が前後してしまいましたが、これまでカンゲキ取材では2回、春樹座長にインタビューをさせていただいてまして、若座長にお話を伺うのは初めてですので、まずはプロフィール的なことを教えていただいて良いでしょうか。
はい。生まれは栃木で現在24歳です。初舞台は0歳で、抱き子で出ていたそうですが、物心ついたのでは4歳くらい。『秋葉の子守唄』というお芝居で、初代座長と一緒に演ったのが最初と思います。
小さい頃から舞台が好きでしたか
そうですね。一度だけ、小学3年の頃、友達と遊びたくて、舞台やりたくないって思ったことがありました。その一瞬だけで、それからはもう舞台が好きで、舞台のことを考えない日はないくらい、基本的に舞台漬けです。年末の休みも、旅行に行っても、どっかで考えてます。
例えば、ディズニーランドに行った時も、こういう感じの舞台をやりたい、この照明いいなとか。ご飯食べに行った先で、この設置の仕方いいなとか、BGMでいい曲が流れたらチェックしますね。
子役から花形になられたのは?
花形襲名は14歳くらいかな?若座長になったのが17歳で6周年だから…それくらいですね。
5.演出の話。古典と時代性の葛藤
先日の「新風プロジェクト革新」ではお芝居の演出を担当されるなど、演出家としても活躍の場を広げておられます。今日のお芝居の演出についてもお聞かせください。
まずはこの演題をやろうと思ったきっかけと、特に工夫されたところなど教えていただけますか。
僕、歌舞伎役者の中村勘三郎さんが好きで、勘三郎さんが演じられた中でもこの団七九郎兵衛がダントツにかっこいいと思っていて、いつか自分でもやりたいと思ってました。
歌舞伎の演目をそのまま大衆演劇でやってしまうと、内容が難しくて、わかりづらかったり、時間的にも合わなかったりします。
それに、歌舞伎は歌舞伎役者さんが演るからいいのであって、今なら一幕3千円で見られますし、そっちに行ってもらった方がいい。大衆演劇でやるなら、大衆演劇でやる意味が欲しい。
そこから構成を考えられたのですね。
自分だったらこうするとか、こうしたら面白いとか、自分なりのエッセンスを付け足して、『これが大衆演劇の団七だ』って言えるものを作りたかったんです。
例えば、今回思いついたのでは、大詰めのみんなでパーッと踊るところとかですね。
あそこは最高に楽しい場面で、客席も盛り上がりましたね!
一番初めは『誰も見たことのない団七九郎兵衛』というタイトルで演ったんです。大衆演劇でもよくやられている『団七九郎兵衛』と歌舞伎の『夏祭…』とを混ぜた形で演らせてもらいました。
なるほど、初演からさらに進化させたのが今回の「暁人版 夏祭浪花鑑」なのですね。
勘三郎さんが出演されていたコクーン歌舞伎の千穐楽を観に行ったんです。その舞台では歌舞伎からより現代に寄せてる感じで、現代のヤンキーみたいな話し方をしておられたんですよ。そういうのがいいなと思って。
古いものを大事にしたいという気持ちはもちろんあります。でも、そのままでは今の時代に受け入れられないものもあり、新しくしていく必要がある。
要は、その兼ね合いですよね。アレンジしすぎても原型がなくなるし、何を残し何を変えるか、その葛藤が常にありますね。
ではこのお芝居もこれから先も変えていくということでしょうか
はい、時代に合わせて考えて、また変えると思います。
6.団七の葛藤を感じてほしい
それにしましても、これだけ長丁場でハードなお芝居を昼夜2回上演とは、すごい運動量だと思います!
いやあ~疲れました(笑)。このお芝居はみんな疲れます。1人何役もこなして、出たり入ったりで、着替えも多いんでね。(作ったやつ出てこい!?笑)
特に「泥場」の場面はたっぷりでした。
『親殺し』のところですね。団七は殺したくて殺したんじゃない。でも1回刀をかけてしまったので殺すしかなくなった。そんな心の葛藤を感じてほしい。
ささっと演ってしまったら、その葛藤が出ないですから、(劇場の)スタッフさんに申し訳ないって思いながらも、夜の部もたっぷり演ってしまいました。
歌舞伎ではさらに登場人物も多く、長い物語ですから…
オリジナルでは釣船三婦という侠客がいて、僕は釣船も大好きなので、いつか団七と2役で完全版として演ってみたいです。
7.勘三郎さんが大好きで
お話を伺っていると、本当に歌舞伎がお好きなのだと…
歌舞伎が好きというより勘三郎さんが好きという方が近いかもです。背中の刺青も勘三郎さんなんですよ。団七の刺青の柄で、背中に勘三郎さんをどうしても入れたくて(笑)。

勘三郎さんのお芝居から、演技や演出のインスピレーションを得られるのでしょうか
そうですね。勘三郎さんの魅力、パワー。うまいだけじゃない、溢れ出る何かがあるんです。『瞼の母』でも、今までのと全然違う演り方なんですけど、理にかなっている。杉良太郎さんとはまた違う明るさがあるんですね。
『三人吉三』でもそう。今までの歌舞伎を超えた、人間味を感じます。
8.30分で出来たラスト舞踊「ロック芝浜」
ラスト舞踊「ロック芝浜」も、とても面白い舞踊でした
これ、急に思いついたんですよ。携帯で何かないかなーって調べてて、あ、これ、メチャメチャ面白い!…で、どんどん『手』を思いついて、30分くらいで出来ました。
たった30分で、ですか!
はい。皆にもこういう感じでって伝えて、すぐに出来ました。うち、こういうの結構多いんですよ。稽古しなくても舞台で合わせられる。
最後のキメで、僕が動くか、動かないか。みんな僕を見て、その場で合わせてくれるんです。ばっちり合った瞬間は最高に気持ちいいですね。
9.チームワークと1人1人の個性の両方を大切に
若手メンバー全員がのびのびと弾ける感じが伝わってきます
みんな舞台が好きで、何かやる時は協力してくれるチームワークがあります。全員仲が良くて、そういうのが舞台に出ますよね。
例えば今日の立ち回りなどで1人1人と絡む際に、メンバーからこうしたいなど意見が出たりしますか。
はい、みんなで意見を出し合ってやっています。
これまで、みんなの誕生日公演では、僕がお芝居や演出を考えてたのですが、最近は自分からこれをやりたいとか、個性が定まり出しました。そういうみんなの成長が嬉しいです。
どんどん自発的になっておられるのですね
僕は劇団カラーは要らないと思ってるんです。なんでも出来るオールマイティな劇団で、みんなが目立つようにしたい。先に生まれた者が座長じゃなくて、弟の方が人気があったら弟が座長になるべきだと、そういう危機感を持ってやってますし(笑)。
みんなで切磋琢磨して…
誰かの『祭り』の時は、その本人がやりたいことをやって、全部終わってから『ここはこうしたらいいかな』って伝えます。基本的に口出ししないようにしてますが、やっぱり言ってしまいますね(笑)。
劇団美山の里美たかし総座長は、メンバーの祭りには、一切口を出さないそうです。たとえ失敗してもその子の成長になるからと。失敗こそが成功の近道なんで。僕もそうしたいのですが…つい(笑)
10.若座長による劇団メンバー紹介!
今回関西初乗りということで、若座長から見た劇団暁のメンバー紹介をしていただけるとありがたいのですが、よろしいでしょうか。
もちろんいいですよ!
ありがとうございます!では、三咲夏樹座長からお願いします。
夏樹座長の女形の美しさ。抑えて惹きつける感じは僕には出せないです。僕はまだまだ欲しがっちゃうんで(笑)。身体に気をつけて飲みすぎないようにしてほしいです(笑)。
三咲春樹座長
劇団暁といえば春樹座長です。ほとんどのお客様は春樹座長目当て。僕は食らいついてかっさらうつもりで(笑)。春樹座長の男の色気は、僕には出せない。あれを出せるようになったら…(笑)
三咲大樹副座長
劇団暁に絶対的に必要な人間。僕と大樹兄ちゃんと隼人は、若手の三本柱と思ってます。1本でも崩れちゃうと思い描いてものができない。大樹兄ちゃんの代わりはいない。義平次は、僕も演ったからこの役の辛さがわかります。しんどい役です。
三咲隼人花形
僕の右腕であり、僕を脅かしてくる存在でもあります。僕に無いものを持ってる。彼に負けないようにと頑張ってます!
三咲龍人さん
龍人はアホですね~(笑)。1劇団に1人いなきゃ行けないタイプです。3枚目キャラで、ムードメーカー。『暁人と隼人が頑張るから僕は頑張らない』とか言うんですけど、意味がわからない(笑)。頑張れよ!
三咲憧さん
古典が好きな子です。そういうところを大事にしていってほしい。レース着てキャアキャア言われるだけが役者じゃない。 あと、骨折はしないでほしい。7回、同じところをやってるんですよ。
三咲鷹人さん
末っ子の鷹人は、誰も踊っていない曲を踊ったり、僕たちが全然考えつかないことをやるので、驚きます。どっから見つけてきたん?って。僕が末っ子だったらお兄ちゃんを追いかけると思いますが、そうじゃない方向から来るんで、すごい考えてるんだなあって思います。
続いて女性陣で、三咲愛羅さん
芝居が上手く、安定しています。舞台のことをメチャメチャ真剣に考えている。人知れず努力していて、お芝居のこともすごく真面目に研究しています。
三咲良羅さん
良羅はとにかく優しいですね。面倒見が良くて、お客様から一番可愛がられているのが良羅です。
三咲舞花さん
えーと、舞花はですね、劇団暁の影の支配者です(笑)。楽屋が汚いと片付けなさい!!と怒られます。お母さんみたいで、頼り甲斐のある子です。
三咲凛月さん
宝塚ファンで、宝塚に詳しい。それ以外にも僕たちにはない知恵を持っているので、新しいことをするときは相談します。三枚目も演れる面白い子です。
みなさん個性的で…
個性しかないです、うちは(笑)
11.夢はみんなが座長になる劇団!
今日はたくさん聞かせていただいて本当にありがとうござます!最後に、これからやってみたいこと、直近の予定から、将来的にやってみたいことを教えてください
僕なその年で目標を決めていて、今年は女形に挑戦する年にしています。すでに演ったのでは『お吉物語』『濃姫』『花魁草』で、いずれも好評いただきました。
12月の周年記念には『弁天小僧』をやりたいと思っています。弁天が死ぬまでのストーリーを今考え中です。来年は大衆演劇の定番の股旅ものをきっちりやりたいなと思っています。
劇団としての目標は、みんなが成長して、みんなが座長になれるような劇団にすること。
4日替わりでみんなが座長になるとかって、めっちゃいいと思うんです。僕と隼人の座長4日間、次が僕と愛羅、僕と龍人の座長公演…そんな公演がしたい。
みんな座長になりたいと思うんです。人数が揃ったらユニット制にして、座長もメンバーもシャッフルして競い合ったら面白いんじゃないかなって。
取材メモ
激アツだった劇団暁@星天座公演。舞台の熱に対して客席もホット!
「とにかく楽しい」
「エネルギーがすごい」
「みんながみんないい」
「今回初めて観てすっかりファンになりました!」などなど、感動の声が聞こえてきました。
カンゲキで初めて取材させていただいたのは、2017年3月の隼人花形の16歳の誕生日公演で(カンゲキ2017年6月号掲載)、鷹人さんと憧さんに至っては、あどけなさが残る子役さんでした。
それから5年で見違えるように成長された若手メンバーたち。全員がのびのびと、そして堂々と、個性を打ち出されています。
今回の取材でお聞きした若座長の夢である「みんなが座長になる劇団」も、そう遠くないのでは…と思った取材班でした。
劇団情報
劇団暁(三咲夏樹・三咲春樹)
1983年、初代三咲てつやが座長として結成、 那須ヘルスセンターにて旗揚げ、全国で公演。 1994年に塩谷町船生にて「船生かぶき村」という旅芝居の拠点を建立する。 2009年、夏樹・春樹兄弟が座長襲名。2015年、三咲暁人が若座長襲名。 子役から若手座員が揃って成長が著しく、将来が嘱望される気鋭の劇団。
劇場情報
華舞台 星天座
大阪府東大阪市長堂3丁目8-1