劇団錦6月公演密着取材!座長・若座長インタビュー
座長 錦はやとインタビュー・劇団は大きな家族です
楽しい「お菊ちゃん伝説」
今日は1日取材に応じていただきありがとうございました。まずはお芝居「お菊ちゃん伝説」についてお聞かせください。
これは、もともとは三桝屋の市川市二郎さんのお芝居で、心遊会の大会の時に、朝陽政次会長主演でやったんですよ。面白いお芝居なので、うちでもやらせてもらうようになって。やり始めたのは最近ですね。
劇団錦としてやる時のポイントは?
うちは喜劇が多いんでね。これも、まあ、僕の独特のお笑いというか(笑)、それが見せ場という感じですかねー。
座長は女形のお芝居も多いですよね。
結構やりますね。『お梶』とか『残菊物語』とか。でも今は不安な世の中で、お客様はお笑いを求めて来られるじゃないですか。だからどちらかと言うと喜劇が多めにしてます。
アイデアいっぱいのラスト舞踊
ラスト舞踊の「三人藤娘」は華やかで圧巻でした。
これまでは僕とカムイの2人でやってんですけど、花形が加わって。確か、花形の誕生日公演の時かな、初めてやったのは。『二人藤娘』はよく見ますが、『三人』はあまりやってないと思います。
ラストショーがダイナミックで、あっと驚くものが多いですよね。6月26日の書き出しの「阿修羅太鼓」が気になっているのですが…
太鼓は人気があって、それこそ、その日は、昼夜で200人くらい来ていただきましたね。最初に10個の太鼓を縦1列に並べて、そこに6人立って手を広げると、正面から見たら阿修羅みたいに見えるんです。千手観音みたいに、パーッと。それで「阿修羅太鼓」ってつけたんです。最後は横一列に10台並べて乱れ打ち。すごく見応えがあると思います。
座長は本当に色々なアイデアをお持ちで…
いやいや、お客様みなさん目が肥えてらっしゃるので、次々違うもの違うものと思うと、なかなかキツイっすよね(笑)。最近はショーは若座長にほぼ任せてる状態です。
若手が集まる劇団
今日は舞台袖も取材させていただいています。壁に貼られている香盤表など全部手書きで、細かく書かれていますね。
うちはいまだにアナログというか、全部手書きですね。書くことで覚えるので、若い子たちの仕事にしています。
若手の座員さんがたくさんおられますが、みなさんご自身で入団を希望されるのでしょうか。
はい、みんな劇場やセンターでうちの舞台を見て、入りたいと志願してくれます。何日か研修期間があって、それで良かったら正式に入ってもらってます。
入団可能な年齢は
年齢制限は設けてないんです。小学校や中学校で入ってくる子もいます。本人のやる気次第ですね。
若い子が多いのはなんで?と言われたら、こっちもなんで?なんですけど(笑)。みんながどう思っているかわからないんですけど、みんな辞めないでやってくれてるので…
今、なかなか座員が集まらないと言われている中で、これだけたくさん座員さんがいらっしゃるのは、何か集まる秘訣があるのかと聞かれませんか。
他の劇団さんはみんな自立してる子が多いですよね。うちは、どこへ行くのもみんな一緒で、全部面倒を見ている感じです。もちろん、それが良いのかどうかわからないんですけど、うちはそのやり方ですね。みんな家族と一緒。それが合ってる子が集まっているんだと思います。
ありがとうございました!最後に、忙しい毎日ですが、オフの日はどのようなことをしてリフレッシュされていますか。
僕はだいたい風呂やジムに行ったり、散髪に行ったり。リフレッシュと言うよりメンテナンスをしてますかね~笑
若座長カムイ インタビュー・アドリブ対応力がうちの持ち味
松井誠特別公演への出演を終えて
今年4月に行われた松井誠さんの特別公演に出演されました。共演は初めてでしたか?
以前、沢口靖子さんの舞台『男嫌い』(2013年東京・ル テアトル銀座)で、ご一緒させていただいたことはあるのですが、松井誠さんの自主公演に呼んでいただいたのは今回が初めてです。コロナのために2~3回ダメになって、今回ようやく実現しました。
松井誠さんとの出会いは?
座長たちは面識があったみたいですけど、僕は小さい時に見た、誠さんが舞台での早着替え(踊りながら女形の支度をする、松井誠の得意技。1曲終わるまでに自分で帯まで結んでしまうのは神業!)は、うろ覚えですが、記憶にあります。がっつり共演は、沢口さんの舞台で。そこからちょこちょこお出会いすることがあって、今回、誘っていただきました。
お稽古の様子はパンフレットに紹介されていましたが、厳しかったですか。
いえ、優しかったです。いろいろ教えていいただいたのもあったし、僕も事前に先生から教えていただいたこともあったから、こういう時はこうやったらいいんだなって、なんとか柔軟に対応できたと思います。なので、特に大きく困ることはなく、順調に進んでました。
歌手デビュー秘話?!
また、CDデビューおめでとうございます(2022年4月「僕なりの愛のカタチ」リリース)。これはご自身でやってみたいと思われたのでしょうか。
前からお客様から聞きたいっていうお声をいただいていて、それが社長の耳に入ったこともあって、挑戦することになりました。僕は歌が苦手だったので、自分からではないです(笑)。
レコーディングはいかがでしたか。緊張されましたか?
ドキドキでしたねー。スタジオに入ってマイクの前で歌う、何かで見た通りの状況でした(笑)。レコーディングエンジニアの方が優しい方だったから良かったです。もっと厳しいこと言われることもあると思いますが、スムーズでした。
歌唱指導も、僕の声に特徴あるからそのまま歌ったらいいよって言っていただいて。音程の取り方とか教えてもらって勉強になりました。
お芝居の幕間をなくす
僕、今年から、お芝居の幕間を作らないようにしようと思ってまして。これは松井誠さんの公演でも勉強になったのですが、幕間って大事なんやなって。実際にやり始めたのは5月の梅田呉服座公演からですね。お芝居を途切れないようにやっています。
もともとあるお芝居にも手を加えたり、進化させているのですね。今日のお芝居でも、お菊ちゃん(座長)が「波動砲」を使うのを、座長が忘れていたという場面がありましたね(笑)。
あれも今朝急遽こうしようって決めたことを、座長が忘れてて。座長、全然波動砲出してくれないから、メンバーみんな待ってるのに(笑)。うちはこんな風に毎回違うので、飽きないですね。そういうのが錦らしいなって思います。
来年25歳。これからのこと
これからの舞台のアイデア、構想していることはありますか?
今年5月の梅田呉服座での誕生日公演の時に全部やった感がありますね。なので、今は燃え尽きて空っぽですって書いておいてください(笑)。来年25歳になるので、その記念になるように何か考えたいと思っています。
しばらく劇場公演も続きますね。
8月別府座、9月飯塚セントラル劇場、10月千成座、11月あがりゃんせ劇場、12月が池田呉服座です。まだまだ必死で走り抜かねばならないので、頑張ります!
取材メモ
劇団は家族、そして学びの場
劇団錦さんは裏方含め20名の大所帯(ワンちゃんも5匹います^^)。楽屋は荷物こそたくさんでしたが、動きは至ってスムーズ。役割分担がきっちり決められていて、それぞれが責任を持って動いておられるから。
「若手たちが将来どんな仕事でも出来るように」と、みやびさん。メモを取ることやお金の計算など、日々の舞台の中で勉強できるように、工夫されています。その様子から、ふと「錦学校」という言葉が浮かびました。
また、印象的だったのは、若手の皆さんが舞台に立つ座長や若座長を、舞台袖から熱心に見入っている姿です。舞台で何かあった時のために控えているという役割なのですが、それと同時に、いや、それ以上に、先生である座長や若座長を見て、必死で学ぼうとする気持ち。真剣な眼差しや背中から、その気持ちの強さが、ひしひしと伝わってました。
プロフィール
劇団情報
劇団錦
2000(平成12)年に旗揚げ。 錦はやと座長とカムイ若座長を中心とした若さあふれる新進劇団。 人情芝居を得意とし、笑いあり、涙ありの見応えのあるお芝居を観客にお届けする。 「劇団員は家族と同じ」をポリシーに、固い結束力で常に熱い舞台を作り上げる。
劇団錦公演予定
- 2024年12月天然温泉 東海健康センター(愛知県)
~12/25昼の部