橘劇団密着取材!橘大五郎座長インタビュー

昔のお芝居を復活させています
小学生から鬼熊大五郎!「河内の次郎長」
「河内の次郎長」についてお聞かせください。これはもう長くやっておられるお芝居でしたね。
はい。浪花章之輔さんという僕の師匠から教わったお芝居で、僕が小学校の頃からこの役(鬼熊大五郎)を演っています。でも、大人になればなるほど、難しさを感じますね。
配役は変わらずでしょうか。
配役は少し変わってますね。せいやが小二郎役で出るようになって、だいぶ弟らしくなってきたかなー。いずれは僕が河内の次郎長を演ることになると思いますが、今はまだ難しいですね。鬼熊大五郎を演れる人が小次郎兄ちゃんしかいないので。
悪役たちが重要なポジションで、越中屋兄弟を改心させるのに一役買っているところが面白いなあと思います。
僕もそう思ってやってます。最後に総座長が締めてくれるから、僕たちも暴れられる。もちろんやりっぱなしではなく、お客様の反応を見ながら、戻す時はしっかり戻して、お芝居の筋を大事にしながらやっています。

新作と並行して古いお芝居も復活
昨年上演された「「なんなんだ!忠臣…ぐらっ!?」や「偽りの武士」など、どれも面白いお芝居ばかりでした。これからもどんな新作が飛び出すか、楽しみです。
新作にも挑戦していきますが、最近、小次郎兄ちゃんと古いお芝居を復活させることにも力を入れているんですよ。
先日『半七捕物帳』というお芝居を復活させたんです。
昔の大衆演劇の、ありきたりといえばありきたりのストーリーなんですが、親子の情や兄弟の情が入っていて、いいお芝居だなあと思いました。
何度も観て知っているつもりのお芝居でも、より丁寧に演じられる方の舞台を観た時、「こんないいお芝居だったんだ」と知らされることがあります。
その通りと思います。どれもちゃんとやればいいお芝居なんですよね。昔の役者さんたちは腕があったから、その良さを伝えられたんでしょう。うちの劇団でも若手にももっと教えていかないといけない。

祖父の代から続けている素人芝居の指導
昔のお芝居を復活させる作業とは、具体的にどのようなことを?
うちの劇団は地元(大分県日田市)で素人芝居を教えているので、台本があるんですよ。教えるために台本に起こさせるんです。じいちゃんの代からです。
なんと!ではかなり前からお芝居の台本が残っているということですか?
はい。映像を撮って台本に起こさせるところから始めて『素人さんには難しいからこのセリフはなくして、簡単なものにしよう』とか言いながら、作っていきます。
それらはいつ上演されるのでしょうか。
年に1回、公民館などでやっています。じいちゃんの代からやっている人は、すごく達者ですよ。情熱もあって。
九州は「博多にわか」や「佐賀にわか」もありますし、民間にお芝居の文化が根付いているのですね。
素人でもたしなみのある人が多いですね。盆踊りとかも盛んですし、お祭りがあるのでみんな笛や太鼓も出来ますし。そういった能力が高いと思います。

絆が深まった12月公演
今日はありがとうございました!最後に2023年の抱負をお聞かせくださいますか。
座員が減って、劇団としてまた形づくりをしているところなので、今はとにかく一歩一歩踏みしめながら前に進むしかないと思っています。1日1日大切に舞台を務めること。そう念じてやっている感じですね。
初乗りの湯守座公演はいかがでしたか。
四日市も久しぶりで、初めての場所で健康センターだったから良かったこともあり、今年はこの流れで最後にこちらに来られて良かったです。昨日もみんなで『1ヶ月なんとか乗り越えられたねえ』と話していたところで、ここでまた絆が深まったんじゃないかなと思っています。
KANGEKIメモ
とにかく明るい楽屋。舞台そのままの活気があって、テンションが上がります。そんな雰囲気も伝わってか、初乗りでも日を追うごとに客入り伸びていったそう。
公演中も湯守座スタッフのカッキーさんと「今何人くらいですか?」「あと○人で大入です!」とやりとり。劇場側も全力で応援!
取材班が到着した時、ちょうどロビーに座長がおられました。
「おはようございます!」
座長が着ているのはサウナファンの間で人気の「サウボーイ」のパーカー。強力宣伝マンの登場で、売り上げも上がりそう。湯守座の売店で絶賛発売中です♪
プロフィール
劇団情報
橘劇団
劇団設立は昭和38年ごろ。総座長が父・初代橘菊太郎より受け継ぐ。 明るい人情劇、豪華なオリジナルショーで人気を集めている。 平成23年3月に三代目橘大五郎座長が襲名。 座員一同が結束し、お客様とともに盛り上げる舞台づくりを目指している。
劇場情報
おふろcafé 湯守座
三重県四日市市生桑町311