KANGEKI2023年3・4月合併号Vol.76
旅芝居女優名鑑第10回花形錦りか~劇団錦~(4/6)
第4章 三枚目で勝負
役へのこだわり
演じる時は、その役になりきることを目指しています。
例えば酔っ払いの役だったら、とことん酔っ払いになりきりたい。
だから、よく人間観察しています。
あとは出来るだけ調べること。「曽根崎心中」のお芝居をやる前に曽根崎神社に行きました。どんなところで亡くなったのか、出来るだけリアルに感じたくて。お初と徳兵衛の像が見て、どんな顔だったんだろうって想像したり。
「お梶」をやる時も全部調べました。お梶の最期はいろいろ描かれていますが、原作では小道具部屋で首を吊るんです。自分で演じる時は、原本を調べた上でどう演じるか考えています。
ライバルはズバリ座長!
どんなお芝居でも与えられた限りは精一杯演じるけれど、自分の強みは何だろう?と、分析するりか。
私、身長と顔が中途半端なんですよ(笑)。女優さんだったらお嬢さん役はみんなやりますよね。背の高い人なら立役が似合うでしょう。じゃあ私は何が合うのか考えたら、三枚目じゃないかなって。
三枚目と言えば、座長・錦はやとが得意とする役どころ。真っ向勝負に挑みます。
喜劇「へちまの花」は、私と座長と交互で主役をやっています。負けてないと思って演っているので、座長がウケたら悔しくて(笑)。座長は毎日テレビを見ているから、流行りに詳しいんですよ。私はテレビがないんで、座長がテレビネタで笑いを取った時「負けたー」って。
りかの強みはメンタル。お客さんが笑うまでやるのが、りかの三枚目。
笑いが取れないと座長もカムイも心折れますが、私はメンタルが強いので折れない。お客さんが笑わなければ、笑うまでやれるのが強みです(笑)。
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