木戸番のエッセイ・天職先は大衆演劇!第23回寿珠里~劇団寿~後編(2/2)
Ⅲ
今は「寿珠里」として、お芝居に舞踊ショーにと頑張っているが、若座長や座長は樹里をどうみているのか?訊いてみた。
若座長の「寿美空」は言う。
「自分が中学の時から、珠里は寿を応援してくれていたので感謝している。あのムードメーカーとしての明るさで、舞踊ショーやお芝居だけでなく、楽屋でもその存在感で、みんなを盛り上げっていって、若座長としての僕の立場からも、彼女がいて助かっている」と。
座長の寿翔聖にも「寿珠里」について訊いてみた。
Q.「寿珠里」に座長として注文はありますか?
A.舞踊ショーはあの笑顔や明るさでいいのですが、お芝居にはもうすこし時間がかかりそう。オールマイティーに芝居ができるようにがんばってほしい。
Q.どんな女優になってほしいですか?
A.彼女は愛されキャラなので、その個性を大切に! 「継続は力なり」で、へこたれず、芸を磨いてほしい。
さて、筆者が冒頭に言った「寿珠里」のあいさつは、一般的な女優のそれとは違って「元気いっぱいのあいさつ」である。まさにスポーツ選手のあいさつである。
2022年12月に、カタールでFIFAワールドカップがあった。 日本の代表チームは、カタールのドーハでは、いい思い出がない。1993年10月のイラク戦に敗退している。
いわゆる「ドーハの悲劇」ある。
しかし。今年のカタールは違った。 世界の強豪チームと戦い、ベスト16まで勝ち進んでいった。残念なことに悲願のベスト8にはならなかったが、日本チームの強さは世界が認識するようになった。
このニュースをかつての「サッカー少女」だった珠里も知っているに違いない。 彼女はサッカー選手から大衆演劇の女優に見事に転身を果たした。
日本の代表チームが新しい世界を求めているように、珠里にも大衆演劇の世界で新しい景色が見えることを、筆者は期待している。
プロフィール
小野直人
生年月日 | 1953年 |
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1953年 滋賀県大津市生まれ。日本大学・農獣医学部卒業。
小野牧場オーナー、総合学習塾 啓数塾塾長、構成作家(テレビ、ラジオ)を経て、現在は、あがりゃんせ劇場の木戸番として、多くの大衆演劇の劇団や幅白い大衆演劇のファンと交流をもつ。「KANGEKI」で「木戸番のエッセイ」を連載中。
劇団情報
劇団寿
2013年8月、黒潮劇団に所属していた寿翔聖が、新潟県の三条東映にて旗揚げ。「お客様に笑顔になっていただきたい」をモットーとし、少人数ながら太鼓ショーやオリジナルのお芝居などバラエティ豊かな舞台を展開し、ファンをつかむ。2017年9月に寿美空が若座長襲名。こどもたちの成長にも期待がかかる。