かんげき2024年9・10月号Vol.91
木戸番のエッセイ・天職先は大衆演劇!第31回恋月彩圭編後編(3/4)
Ⅵ
2021年、彩圭は劇団寿にフリーの座員として、再び加わった。 その年、「あがりゃんせ劇場」に乗った。 その年から恋月彩圭は、劇団寿に3年いることになる。
筆者の彩圭に対する印象は、実はあまりよくはなかった。 普段のあいさつでも、なぜがおどおどしているし、笑顔がない。話さない無口な女優というイメージをもったが、3年を過ぎた今はどうだろう。 お互いにどんどん冗談も言いあえるし、彩圭は笑顔で意見を言う様になっている。
「フリーにしてはずいぶん同じ劇団に長くいるね」
「どこの劇団にいってもそうですが、劇団のみんなが優しくしてくれて、居心地もいいのです。いろんな役をさせていただいて楽しいのです。相変わらず、芝居で足を引っ張っていますが…」
この3年間で、確かに彩圭は変わった。筆者の目にはそう映った。
筆者は彩圭になおも続ける。
「女44、いろいろあるけど、これからどうしたい?」
「今までわたしに関わってくれた全ての人たちのお陰で今の私かあると思います。これからはどんな役でもできる、静華姉さんや藤乃かな座長みたいな女優になりたいです。 もう遅いかな(笑)」
劇団の翔聖座長にも聞いてみた。
「恋月彩圭って、どんな女優ですか?」
「とにかく人間が爽やかでいい。寿は若い役者が多い分、アップテンポの踊りが多いなか、彩圭は雰囲気のある踊りで、違う場が出来る。助かっている。」
彩圭の武器はなんですか?
「やっぱり、あのタッパでしょうね。あのタッパをもっと生かして、立役を勉強してほしいね。」