KANGEKI2021年4月号Vol.57

お芝居小屋探訪其の二十二香川県「新道しるべ」南ファミリー劇団のホーム劇場~地元に愛され40年~

劇場:芝居茶屋 新道しるべ取材日:2021年3月13日
お芝居小屋探訪 其の二十二 香川県 「新道しるべ」 南ファミリー劇団のホーム劇場 ~地元に愛され40年~

週末に開く
お食事付きの夢舞台

JR琴平駅、または琴電琴平駅から南へ約1.7キロ。
「こんぴらさん」でお馴染みの琴平町のおとなり、まんのう町に「芝居茶屋 新道しるべ(しんみちしるべ)」はあります。

看板と劇団ののぼりが目印。

もともと喫茶店を営んでいた建物に、オーナー家族が結成した「南ファミリー劇団」の公演場所として舞台が作られたのは今から40年前のこと。
以来、毎週日曜に幕が上がるのを楽しみに、地元はもとより全国からお客様が訪れるようになりました。

芝居茶屋新道しるべ

それでは館内をくまなくご案内~!

  1. 受付
  2. 通路~劇場入口
  3. 劇場~観劇タイム
  4. オーナーインタビュー~扇子家玉四郎座長
  5. 基本情報
  6. 周辺情報・最寄駅

1.受付

入り口の左手が受付。
予約した名前を伝えて観劇料を支払います
入場時に検温と手指消毒^^

2.通路~劇場入口

通路兼ロビーには…
壁に劇団メンバーの写真がずらり
これまでの海外公演の記録も
劇場入口。ワクワク!
劇場前で靴を脱いで下駄箱かビニール袋に入れます
劇場前には座席案内図が貼り出されています。分かりやすい!

3.劇場~観劇タイム

舞台に向かって並べられた客席。
コロナ対策で間隔を広く空けています
テーブルごとにセルフサービスのポットと急須がセッティング。
正座しづらい方のために小さな椅子も用意されています
舞台から客席を見たところ。前列は座椅子、後方は椅子席
花道もあります^^
演目は月替り。演目は月替り。
3月はお芝居2本と舞踊ショーの3部構成です
席に着いて開演を待ちます

いよいよ開幕

第1部のお芝居は三代目山口英二朗座長が三枚目で熱演!
背景幕は初代から受け継がれたものもたくさんあるそう
お芝居の幕間に換気タイムが設けられています

食事タイム

第1部お芝居が終わって食事タイム。劇団メンバーが給仕スタッフに早替り
お弁当は全て館内の厨房で劇団メンバーが手作り。
「いただきまーす!」

舞踊ショー

ラストは花の7兄弟(現在は1名外部出演中で6名)そろい踏みで盛り上がました
終幕~コロナ対策のため舞台からお見送りです

4.オーナーインタビュー ~お客様の声から生まれて40年

南ファミリー劇団
座長 扇子家玉四郎

「お芝居が見たい」と言って亡くなった祖父

――芝居茶屋の創業はいつなのでしょう

玉四郎

きっかけは今から40年前、父が家族で劇団を作ったことから始まります。

もともと父(初代山口英二朗)は、劇団扇子家(せんすや)という劇団の座長で、50人くらい座員を抱えながら主に京阪神を回っていました。

母が私を身篭った時、旅回りでは可哀想だからひとところに落ち着こうということになり、初めて四国に巡業で来て、劇団を解散したのが琴平。そのまま住みついて飲食店を始めました。

僕が18歳の時、祖父が寝たきりになりました。祖父は役者ではなかったのですが、お芝居が好きで「お芝居が見たい」ってずっと言っていたんです。「そんな身体じゃ無理だ、あったかくなったらみんなで行こう」と話していたのですが、春を待たずに亡くなりました。

その時、父は考えたそうです。自分たちでやればよかったと。 どこかに見に行かなくても、自分が子どもたちに芸を教えて、踊りやお芝居を見せた方が喜んだんじゃないか。生きている時になぜ気づかなかったのかと…。

祖父のような人が他にもいっぱいいるだろう、そんな人たちにお芝居を見せることが祖父の供養にもなると、南ファミリー劇団を結成したのが、1981(昭和56)年2月のことです。

初代 山口英二朗

(…と、ここまでが劇団誕生秘話。ここからが劇場誕生に続きます)

玉四郎

はじめは高齢施設を訪問してボランティア公演をしていました。 それを聞いた人たちから「私たちも見たいのに、お年寄りしか見せてもらえないのか」と言われまして。

お店の床の間のある部屋でお芝居を見てもらうようにしました。だんだんお客様が増えてきたので、改めて舞台を作り直し、週末公演をするようになり…で、今に至ります(笑)。

――ちなみに、芝居茶屋の名の由来は?

玉四郎

もともと「道しるべ」というお店があって、その喫茶店が「ニュー道しるべ」。お座敷を作った時に、和風な方が良いと思って「ニュー」を「新」にしました。「道しるべ」は、ここが国道の分岐点になるので、その意味も込めています。

こんな鹿のオブジェが^^;
店に歴史ありな感ありありです

お弁当付き観劇という独自のスタイル

――11時から始まってお食事タイムを挟むという、独特のスケジュールになっていますね

玉四郎

主に副座長(山口京之介)が献立を考えてくれて、皆でここの厨房で作ります。 何もかも自分たちでやってるんで、幕が閉まったら、僕らがそのまま給仕に出ます。今はコロナで出来ないのですが。
良い役をしていたら「良かったよ~」、敵役をしていたら「にくたらしかったわ~」って(笑)、お客様がすごく喜んでくださるんですよ。

――お客様は地元の方が多いですか

玉四郎

はじめは地元の方ばかりでした息子や娘たちがSNSで発信したり、テレビに取り上げてもらって、遠方からも来られるようになりました。 ひと月、演目が同じなんですけど、地元の人も何回も来てくださいますね。

追加メニュー。茶碗蒸しとお味噌汁セットが人気

もう1年ここで公演が出来ることに!

――閉店の話も上がりましたが、もう1年続けられるとのことで本当に良かったです!

玉四郎

ご心配をおかけしました。
今年2月26日時点で、3月いっぱいで終了することになり「さよなら公演」と銘打ち、ご案内させていただきました。それから3月8日、再び話し合いがありまして、あと1年続けさせてもらえることになったんです。

予約してくださった皆様に「最後ではありませんので」と電話で知らせましたら、怒る人は1人もいませんでした。皆さん「良かったなあ!」と言ってくださったのが本当に嬉しかったです。

1年先のことはわかりませんが、新たな一歩としてますます芸に精進して頑張りますので、 どうぞここ応援してやってください!

5.基本情報

芝居茶屋新道しるべ

〒769-0311 香川県仲多度郡まんのう町買田494
(JR琴平駅または琴電琴平駅より徒歩20分強・タクシーで5分)
電話 0877-75-6052

公演日

毎週日曜
(月3~4回・公演予定は座長ブログ等で発表されます)

時間

開場10時 / 開演11時
終演は15時ごろ)

料金

1人 3,630円(税込)
お食事付き

予約

予約が必要です。
お電話でお申し込みください

座席数

50~80席
(現在はコロナ対策で40席)

SNS・ブログ

 

6.周辺情報・最寄駅

何はともあれ「金刀比羅宮(ことひらぐう)」

JR琴平駅から徒歩20分(琴電琴平駅から徒歩15分)。
古くから「さぬきのこんぴらさん」として親しまれ、全国からの参拝客で賑わいます。
「森の石松」などお芝居に出てくる場所なので、大衆演劇ファンとしては一度は訪れたいですよね。長~い階段のてっぺんにあり、なかなか、いや、かなりハードな道のり。気合を入れて登りましょう。

レンタル杖があります。
ぜひ借りましょう(笑)
絶景に疲れが吹き飛びます~
参道のお土産店にある石松の人形。愛嬌に年季が入ってます!

お芝居ファンなら「金丸座(かなまるざ)」も

JR琴平駅から徒歩圏内。
天保6年(1835)に建てられた現存する日本最古の芝居小屋で、かつては大衆演劇も上演されていました。
現在耐震工事のため休館( 2020年10月1日~2022年3月18日)ですが、再開されたらぜひ。

そして…香川といえばうどん県!

琴平町にもまんのう町にも名店がいっぱい。
タクシーの運転手さんに聞きましたら、駅から歩いて行けるところでは:

  • 琴平駅から徒歩6分のところにある「おがわ」(17時まで)
  • ちょっと歩きますが(約12分)20時までやっている「むさし」

が、おすすめとのこと。
帰りの電車を待つ間にうどん一杯。いかがでしょう。

タクシー車内のうどんのマグネットにうどん愛を感じました^^
(ブレててすみません…汗)

最寄駅

JR琴平駅
大正時代に建てられた駅舎は国の登録有形文化財です
「パシャっとスポット」ここから撮るときれいに撮れるそうです
岡山から特急で約1時間。車両がアンパンマン仕様でした^^
琴電「琴平」駅
こちらも趣ある駅舎です

JR岡山駅から直行で行くもよし、琴電高松築港駅からのんびり行くもまた楽し。
新道しるべで観劇と、いにしえの情緒あふれる琴平を満喫する旅、いかがでしょう。

取材:加藤わ呼

劇団情報

劇場情報

芝居茶屋 新道しるべ

香川県仲多度郡まんのう町買田494

芝居処 扇子家公演予定

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