旅芝居女優名鑑第5回高野花子この振り幅を見てほしい!芸道24年・フリーで羽ばたく(5/6)
第5章
どの役も「私」。
夢は衣装作りを副業に
どんな役もよりらしく
今年で芸道24年になる花子。これまで演じた中で好きな芝居は?
お芝居でどれが1番とかはないです。役だったら、そんなにストーリーに重要に絡む役じゃなく、ただ噂話だけしにくる長屋のおかみさんとかが好きですね。
例えば「地蔵の卯之吉」の茶店の娘。お茶を出して「あんたが地蔵の卯之吉さんだね。だったら…」と、これくらいの軽い絡みが好きなんです。娘役は長らくやってませんけど(笑)。
おっかさん役も、良いと言ってくださる方もありますが、責任重大すぎて。意地悪なのも似合うと言われます。なんででしょう(笑)。
毎日お芝居で大活躍。2役出ることも多い。
立ち役もどんどんやらせてもらいます。2役も初めはオタオタしていましたが、もうしません(笑)。3役やる時もあります。
私が演る以上、どの役も結局「私」がベースになるんですよね。例えば怒る時は、私の中の怒りの感情を強く出しているわけで。全く別人にはなれず、どれも私です。そんな中で化粧や衣装でも工夫して、老若男女どの役もよりらしく見えるように考えます。
本当に毎日色々な役を演っているので、ぜひこの振り幅を見に来てください(笑)。
衣装作りを副業に
フリー4年目。ますます役幅を広げ、全力投球で舞台に立つ花子に、もう1つ、情熱を込めて手がけている仕事がありました。
衣装や小物を作るのが好きで、時間に余裕のある公演先にはミシンを持って行きます。舞台がお休みの間は家でずっと作ってましたね。
もとから得意というわけではなかったんです。
「明日まで出来るようにしといて」が口癖の先輩が、個人舞踊の直前に着物の袖にほころびがあったので「これ縫って!」と言ってきて「出来ません」と言うと「明日から出来るようにしといて!」出たー(笑)
で、この仕事は縫い物も出来ないといけないんだと、見様見真似で始めたのがきっかけです。
また別の先輩から肌襦袢を縫ってと頼まれた時、別の襦袢を借りて、それを手本にどこをどう縫うのか考えて作りました。
完全に独学です。最初はめちゃめちゃ失敗しました。でも自分が着るものなので、着付ける時に工夫して着ればいいし、失敗を重ねて裾引きなども縫えるようになりました。でも和裁に詳しい人が見たらダメ出しされるかも…(笑)。
のめり込んだら止まらない。研究熱心なところは舞台に対する姿勢と同じ。
今では劇団の群舞の衣装なんかも縫わせてもらっています。この衣装作りを副業に出来たらというのが、私のささやかな夢ですね。
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