旅芝居女優名鑑第6回花形龍魔裟斗私にとって「お嬢」はめちゃめちゃ重い呼び名です(2/6)
第2章 花形昇格~立ち役で売り出す
そんな魔裟斗の転機は2015年18歳の時、花形への昇格でした。
お芝居にしっかり出るようなったのは花形になってから。それからですね、舞台が好きと思えるようになったのは。
お客様に褒めていただいて、こんなにお客様が喜んでくれるんだ、こんな私でも誰かを幸せにできるんだって。そう感じた時に、もっと喜んでもらいたいと、やる気が出ました。
お芝居の初役は?
それが覚えていないんです(笑)。多分子分の役とかだったと思います。
役者をやると決めた時、母から「やるなら男役。上手い女優さんはたくさんおるから、立ち役で目立って、宝塚の男役さんみたいになってほしい」と言われたので、ずっと立ち役ばかり演ってました。
男役をやることは、魔裟斗の性分にも合ってました。
かっこいいと言われる方が嬉しかったし、もともと男っぽくて、普段も男っぽい格好ばっかりしていました。だから逆に、女役が回ってきた時は、仕草とか、どういう声を出したらいいのかもわからなかったくらい(笑)。
「女やからなあ」
舞台ではもっぱら男役の魔裟斗。実際問題、男に生まれたかったと思ったことは?と尋ねると…
それはありましたね。いくら頑張っても限界があるんです。 15歳くらいの時かな、お客様から「お芝居も踊りもいいけど、女やからなあ」と言われまして…その時「この家に生まれるんなら男に生まれれば良かった」と思いました。
今ならね、言い返せるんですよ。
「そんなこと言わんといてよ~頑張っていいもん見せるよ!」 って。するとほとんどのお客様は「そうね、わかった」と言ってくださいます。まだ何か言うてくる人にははっきり言います「何観に来たんですか」って(笑)
セリフ覚えも早い方でした。
小さい頃、舞台で失敗したら悔し泣きしてたんですよ。恥ずかしがり屋だったから、絶対恥かきたくないって思ったんです。
覚え方は、昔は紙に書いていましたが、今は携帯に打ち込んでます。自分でセリフを読んで録音して、寝る時に聞いたりもしますね。
お芝居のセリフならどんなに多くても覚えられるんですけど、それ以外の覚えが欠如してまして。記憶能力、全部舞台に使っちゃったんですかね(笑)。
お芝居の師匠は父母、兄、全員ですね。全員から見て覚えます。
聞けば教えてくれますが、習うよりまず自分なりに考えたいと言うのがあります。頑固なのか、そこ、曲げられないんです。
次ページ:第3章 一匹狼は恋バナには無縁?!