KANGEKI2021年10月号Vol.62

旅芝居女優名鑑第6回花形龍魔裟斗私にとって「お嬢」はめちゃめちゃ重い呼び名です(2/6)

取材日:2021年9月6日
旅芝居女優名鑑 第6回 花形 龍魔裟斗 私にとって「お嬢」はめちゃめちゃ重い呼び名です(2/6)

第2章 花形昇格~立ち役で売り出す

そんな魔裟斗の転機は2015年18歳の時、花形への昇格でした。

お芝居にしっかり出るようなったのは花形になってから。それからですね、舞台が好きと思えるようになったのは。

お客様に褒めていただいて、こんなにお客様が喜んでくれるんだ、こんな私でも誰かを幸せにできるんだって。そう感じた時に、もっと喜んでもらいたいと、やる気が出ました。

「惡の華」
左より 龍美麗、龍魔裟斗
2018.8.15 梅田呉服座

お芝居の初役は?

それが覚えていないんです(笑)。多分子分の役とかだったと思います。

役者をやると決めた時、母から「やるなら男役。上手い女優さんはたくさんおるから、立ち役で目立って、宝塚の男役さんみたいになってほしい」と言われたので、ずっと立ち役ばかり演ってました。

左より 龍魔裟斗、大路にしき
「魔裟斗の日」
2021.9.21 鈴成り座

男役をやることは、魔裟斗の性分にも合ってました。

かっこいいと言われる方が嬉しかったし、もともと男っぽくて、普段も男っぽい格好ばっかりしていました。だから逆に、女役が回ってきた時は、仕草とか、どういう声を出したらいいのかもわからなかったくらい(笑)。

花形 龍魔裟斗りゅう まさと
2019.8.27 梅田呉服座

「女やからなあ」

舞台ではもっぱら男役の魔裟斗。実際問題、男に生まれたかったと思ったことは?と尋ねると…

それはありましたね。いくら頑張っても限界があるんです。 15歳くらいの時かな、お客様から「お芝居も踊りもいいけど、女やからなあ」と言われまして…その時「この家に生まれるんなら男に生まれれば良かった」と思いました。

今ならね、言い返せるんですよ。

「そんなこと言わんといてよ~頑張っていいもん見せるよ!」 って。するとほとんどのお客様は「そうね、わかった」と言ってくださいます。まだ何か言うてくる人にははっきり言います「何観に来たんですか」って(笑)

左より龍魔裟斗、三代目南條隆、副座長 南條勇希
2019.8.3 梅田呉服座

セリフ覚えも早い方でした。

小さい頃、舞台で失敗したら悔し泣きしてたんですよ。恥ずかしがり屋だったから、絶対恥かきたくないって思ったんです。

覚え方は、昔は紙に書いていましたが、今は携帯に打ち込んでます。自分でセリフを読んで録音して、寝る時に聞いたりもしますね。

お芝居のセリフならどんなに多くても覚えられるんですけど、それ以外の覚えが欠如してまして。記憶能力、全部舞台に使っちゃったんですかね(笑)。

お芝居の師匠は父母、兄、全員ですね。全員から見て覚えます。

聞けば教えてくれますが、習うよりまず自分なりに考えたいと言うのがあります。頑固なのか、そこ、曲げられないんです。

二代目南條隆なんじょう たかし
2019.8.25 梅田呉服座

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