旅芝居女優名鑑第4回美穂裕子「いないと困る」と言われる女優になろう(4/6)
第4章「いないと困る」と言われるまでは頑張ろう
実は2回のドロン経験者?!
一緒に入った友人が辞めても耐え抜いて、長い下積みから着実に女優として活躍できるようになった裕子。これで一気に上昇気流…と思いきや、なんと「ドロン」を決行!?
実はドロンしたんです。しかも2回(笑)。
1回目は浅草木馬館でドロン。木馬館でドロンって、クソな女優でしょう(笑)。
10年目なので25歳の時です。色々積み重ねでイヤになって…。荷物は全部置いたままで、飼っていた犬だけ連れて出ました。
1回目の時は、みんなめちゃめちゃ優しくて「10年目でドロンするなんてよっぽど辛かったんやな。2、3日ゆっくりして帰ってこい」と言ってくれて、私も悪いなと思って。いやで出て行ったのに、戻りたくなったんですね。
2回目の時は、しばきあげられました(笑)。
28歳くらいだったので、1回目から3年後にやってますね~(笑)。連れ戻されてめちゃめちゃ怒られました。今の子は手をあげられてないと思いますが、そういう厳しさが当たり前の時代でした。
劇団大川でよかった
何があったと言うのではなく積み重なって何もかもがイヤになった。 でも…
自分より後に入った二代目先生の娘さんの方がいい役をもらっても、それが当たり前の世界だし、特段いやとは思いませんでした。
私は前に出るタイプではありません。立場的にも性格的にも前に出ないし、出られない。 でも、いろんな役が出来る。 だから辞められたら困ると言われるまでは居ようと思いました。 「あいつがいなかったら明日から芝居がまわらん」と言われるまでは、と…。
今、うちの劇団は、椿裕二座長が「男も女も舞台に出たいから劇団におるんやけえ、バンバン出す」という考えなので、礼花も好きなことやらせてもらってるし、キラちゃん、新人のみらんちゃんも舞台にどんどん出ます。
初めて観た劇団が、劇団大川で良かった。ここだから続けられたと思います。