KANGEKI2021年8月号Vol.60

旅芝居女優名鑑第4回美穂裕子「いないと困る」と言われる女優になろう（5/6）

取材日:2021年7月6日

第5章友は多い方が良い

1ページ目で紹介した通り、大変な人気者で、たくさんの役者仲間を持つ美穂裕子は、誰とでもすぐに打ち解け、多くの人を思いやる力を持っている人だと思います。
それはもともとの性格なのでしょうか、それとも役者になって開花したものなのでしょうか。

小さい頃から大勢で遊ぶのが好きで、友達は多い方でした。

特にこの世界では友達は絶対多い方がいいと思いますね。少ないより多いに越したことはない。1番の親友は愛ちゃん。長谷川武弥劇団の愛京花総座長です。

人脈を大事に、人を大事に。

相手のことを本気で思うこと。例えば相談された時にうわべでウンウンと聞くんじゃなくて、ちゃんと聞く。私が聞いてもらう時もありますし、お客さまに対してもそうですけど、その人を大事にすることやと思います。

今年3月、椿裕二座長が脳梗塞で倒れました。幸い発見が早かったために後遺症も無く、短期入院で復帰することが出来ましたが、その間劇団メンバーだけで舞台を続けることに。

座長が倒れた時、劇団としても初めての経験で、みんなどうしていいかわからなかったんです。

そんな時、沢田ひろし兄さんを筆頭に、森川竜馬座長、歌瑠多副座長、市川千太郎若座長たちが、はるばる九州の田川まで来てくれました。
座長代行をしてくれた沢田ひろし兄さんには、本当に頭が上がりません。

座長の病気を越えて劇団の絆は深まりました。今も体調は万全ではないので心配ですけど、みんなで力を合わせてやるしかないと。

最後に、これからの夢、やってみたいことを尋ねると…

舞台でやってみたいことを言える年齢じゃなくなったんで…ないですねえ（笑）。
1つだけ、二代目先生が演っていた「お伝地獄」というお芝居があるんですけど、誰も覚えてないんです。辞めるまでにお伝を演ってみたいです。

大衆演劇以外の舞台に出たいと思ったことはないです。好きな舞台女優は藤山直美さん。お客さんを泣かせるより笑ってもらう方が難しいんです。どちらかと言うと、私は笑ってもらえる女優になりたい。

あと、やってみたい事と言えば、やっぱり結婚でしょう！（笑）恋愛もしましたが結婚に至らなかったです。この仕事だと劇団に入るか私が出るかしかなくて。私は結婚したらその人にガッツリついて回りたいタイプなんで（笑）。

子供が好きで、小さい頃は保母さんになりたかったんですよ。
今、私は劇団の女の子たちのお母さんみたいなもんじゃないですか。その立場でいいと。みんなのお母さんとしてやっていこうと思ってます。