旅芝居女優名鑑第10回花形錦りか～劇団錦～（3/6）

第3章 お客様が支えてくれた

「りかちゃんが笑っていてくれたらそれでいい」

りかが大衆演劇の舞台に専念しようと思った理由に、お客様の存在がありました。

子供が好きなので、保育士になりたいと思っていた時期がありました。でも、私が舞台を休んでいるときに「りかちゃんがいないと面白くないよ」って声をかけてくださったお客様があって。

「この仕事じゃなくても、りかちゃんが笑っていてくれたらいいし、この仕事で笑ってくれたら観に来るよ」

その言葉で、救われましたね。

小さかった私を抱っこして観てくれたお客様がいて、ある時、私が階段から落ちそうになっているのをかばって、その人が落ちてしまったんです。
身内じゃないのにそこまでしてくれるなんて、本当に大事にしてくださっているんだって……。その方はもう亡くなられたのですが、ずっとお写真を飾っています。

舞台を続ける限り、また会える

小学4年の頃、初めて来てくれたお客様のお子さんが「大きくなったらまた観に来るから、続けてくださいね」って言ってくれて、この間、本当に来てくれたんです。「覚えてますか」と声をかけてくれて。

舞台を続けている限り、観にきてくださる。この仕事は自分の成長も見てもらえるし、お客様の成長も見させてもらえるんだなあって……。

お客様のおかげで、大衆演劇をやっていこうと思うようになりましたね。

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