KANGEKI2022年1・2月号Vol.65

木戸番のエッセイ・天職先は大衆演劇!第12回真珀達也~三桝屋座長~前編2/4

劇場:スパリゾート雄琴 あがりゃんせ
木戸番のエッセイ・天職先は大衆演劇! 第12回 真珀 達也 ~三桝屋座長~ 前編 2/4

真珀達也は、本名を、稲吉祐希という。平成4年(1991年)3月19日生まれで、現在30歳、うお座である。 ちなみに、うお座で3月19日生まれは、決断力と直感力に優れ、理解力があり、目的がはっきりすると精力的に活動するタイプと言われている。

座長 真珀達也ましろ たつや
(2021.11 あがりゃんせ劇場)

祐希の生まれは、九州は福岡県の北九州である。筆者にとっては「北九州」というと、学生時代に読んだ五木寛之の「青春の門」を思い出す。

「青春の門」とは、こんな話だったと記憶している。

第2次世界大戦の前の話である。 主人公の伊吹信介は炭鉱地帯に生まれ、父の重蔵は炭鉱で働く人々のために、自らを犠牲にして行動する気質の持ち主で、仲間の中では英雄視されている人物であった。 重蔵が、新興やくざ塙竜五郎とカフェーの女給タエをはりあって大喧嘩となり、結局そのタエが信介の二度目の母となる。

時がたち、竜五郎が関係している鉱山で落盤事故が起き、重蔵はダイナマイトを腹にまきつけ、坑内に入る。多くの坑夫たちが救出されたが、重蔵は戻って来なかった。 戦争後、満州から戻った竜五郎は、飯塚で一家を構え、一命を落として自分や会社を守ってくれた重蔵の恩義に報いるために、信介母子の世話を申し出る。

しかし、タエはきっぱりことわる。と、物語は続くが、ここからがおもしろい。 また信介の幼馴染の織江の存在も印象的だったことも覚えている。 とにかく漢(男)っぽい小説で、楽しく読めた。

祐希が生まれ育った北九州は、前出の「青春の門」でも舞台になった炭鉱の町である。 特に、筑豊や飯塚などは、日本最大の炭田地帯である。 全国から集まった炭鉱夫が、最盛期には35万人が働いた。

その連中は、宵越しの金はもたない。「呑む、打つ、買う」で侠気にとんだ生活をしており、いわゆる川筋気質がここで生まれたと言われている。

しかしながら、時の政府は、風紀改善や、家庭の娯楽施設として劇場を建てはじめた。それが大当たりをとり、本格的な芝居小屋となった。こちらの劇場で活躍したのが、大衆演劇だった。

そんな男っぽいところで育ったためか、少年祐希も中学時代はやんちゃであった。 学校に行きたくない。確かに中学では一日休んでしまうと授業がわからなくなる。 1週間も休むと、行きたくなくなる。

彼は音楽には興味があった。 とくに文化祭の発表には真剣に取り組んだ。パートはドラム。ポルノグラフィティのナンバーは、今でもたたけると言う。

歌も好きであった。きっちりボイストレーニングもして、大衆演劇に入る前には、CDデビューの話もあった。しかし、それは、後の話になる。

座長 真珀達也ましろ たつや
(2021.11 あがりゃんせ劇場)
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