KANGEKI2022年3月号Vol.66

木戸番のエッセイ・天職先は大衆演劇!第13回真珀達也~三桝屋座長~後編(3/4)

劇場:スパリゾート雄琴 あがりゃんせ
木戸番のエッセイ・天職先は大衆演劇! 第13回 真珀達也 ~三桝屋座長~ 後編(3/4)

そんな精進が実を結んで、19歳に入団してから2年、21歳では「花形」になっていて、謙太郎座長を補佐する立場になっていた。
ところが、平成から令和になるあたりで、謙太郎座長に異変が起きた。

舞台での座長がおかしい。最初に気づいたのは達也であった。
徐々に謙太郎座長の出番が少なくなり、そして謙太郎座長は、舞台を降りた。

謙太郎座長が劇団からいなくなり、二代目市川市二郎が座長に返り咲き、劇団を動かした。
しかしながら、市二郎座長は、これは違うと考えていた。
こんなことではこの劇団に未来はない。
そう考えて、令和3年2月に、真珀達也を座長にした。
指名をうけた真珀達也も驚いた。そして困惑した。

そこで、同じ大衆演劇に身をおく友達に相談した。
彼は達也と同い年であるが、芸歴は古い。でも、劇団に帰れば副座長である。

しかし、彼は親身になって、達也のために考えてくれた。

「先生が決めたのだから間違いはない。がんばれ!」

しかし、もともと素人のボーイズバーのアルバイトが、劇団に入ってわずか10年あまりで「三桝屋」の座長とは、おかしくないか?そんな声も耳に入る。もっと辛辣な意見もあった。

座長 真珀達也ましろ たつや

では、二代目市川市二郎は、なぜ達也を座長にしたのであろうか?

「まずは劇団の現状を分析したのですね…。私は思うのです。溜まり水は、濁る。動かない水は、腐る。三桝屋も私が、長い間、座長として動かしていると、溜まり水になる、腐るのですね。
頭が変わって世代交代、若い考えが必要なのです。そこで真珀を持ってきました。私は彼の若い発想にかけたのです。
それに、彼は非常にまじめに芸に取り込んでいるのです。そんな姿を見て、団員も刺激をうけています。そのうえ、彼は団員から慕われているので…みんなで新しい三桝屋を作ってほしいのですよ。」