木戸番のエッセイ・天職先は大衆演劇!第27回愛染菊也~劇団紫吹~後編(2/3)
Ⅲ
その愛洋之介が、劇団を旗揚げすることになる。
平成21年4月、愛洋之介は紫吹洋之介と改名し、劇団「紫吹」をスタートさせた。 もちろん、菊也も参加した。 菊也は旗揚げの話がでた時から、なにがあっても、紫吹洋之介座長についていこうと決めていた。
いよいよ劇団「紫吹」は、全国を視野に公演をスタートした。
秋田県で公演したときに、菊也に運命の出会いが待っていた。 秋田の公演で送り出しをしたときに、一般のお客様にまじってある女性の存在があった。 その女性こそ、将来 愛染菊也の妻になる、染弥あかりであった。
ここで、あかりについても触れておこう。
あかりも、小学3年から大衆演劇を観だし、大衆演劇の観劇歴はもう10年以上になっていた。 すっかりベテランの域であるが、実は、あかりには大衆演劇の女優の経験がある。 しかし、菊也とあった時には、すでに女優をやめ、一般人に戻っていた。
そのあかりが過去に「劇団紫吹」の芝居を観たときは、本当に衝撃を覚えた。 紫吹の芝居は、群を抜いていたからである。そこからは「劇団紫吹」の追っかけになった。
秋田ホテルこまちに、紫吹洋之介座長が率いる「劇団紫吹」がやってきた。 あかりは、そのころ劇団の中堅どころの愛染菊也のファンになっていた。
ただのファンではない。愛染菊也推しの強烈なファンになったのである。 寝ても覚めても、愛染菊也であった。
そして、二人は結婚をする。
これを機に、あかりは劇団紫吹に入ったのである。 しかし、あかりは劇団では裏方に専念した。
夫婦として、劇団での仕事が始まった。 あかりは菊也の面倒を見ながら、劇団の裏に入る。 旦那は役者でバリバリ働く。あかりは裏方で劇団をサポートする。 彼女にすれば、理想の形をつくったようだが、座長の紫吹洋之介は、あかりの心を読んでいた。
「あかりちゃんは舞台が好きなんだろう。でも、今は自分に自信がないだけじゃないのか。どんどん舞台にでればいいのに…」 そんなさりげない、座長のアドバイスをうけて、自分でも悩んで、考えて、そして芝居に出た。 舞台は、緊張するが、なんともいえない充実感があって、その後も出演をした。
31歳になった今、女優染弥あかりとして、芝居に踊りに、精いっぱいつとめている。