木戸番のエッセイ・天職先は大衆演劇!第31回恋月彩圭編後編(4/4)
筆者は、普段、劇場に入る度にステージではなく、まずは、客席のお客さんの表情を見る様にこころがけている。 劇団寿のお芝居や舞踊ショーをみているお客様は、笑顔一杯で楽しそうだ。
彩圭は3年連続で「あがりゃんせ劇場」に乗っているが、劇団寿は、あがりゃんせ劇場には連続8年乗っている。
そのためか、ご贔屓さんや追っかけさんも増えている。
8年前は子役だった子供達も、いまや立派に役者としての存在を示している。
劇団寿は役者は5人であるが、「あがりゃんせ劇場」の舞台をいっぱいに使い、懸命に劇場を盛り上げる。それにファンも応える。 「コール&レスポンス」(?)が起きる。
千秋楽の前日に、あるファンは筆者に告げた。
「小野ちゃん。悪いけど、明日は、来れないわ」
なんでですか?
「別れが淋しすぎて…メンバーのこと、見られないから」
ファンは、ありがたい。 そんなファンの応援をうけている彩圭に筆者からひとこと。
「どこかで白熱の時期を自身に与えねば真にモノにならない」
この白熱の時期というのは、芝居への情熱衝動のために自身を灼きつくす時期、 ということである。
それにしても、こんなにたくさんの名前を持った女優に会ったことがない。 出発は美香。そして香恋、愛輝。今は彩圭である。 いろんな時間をそれらの名前で生きてきた。 どれも、無駄な時間などなかった。
彼女はレースが好きである。レースの着物を何着も持っている。レースは、内に着ている物をますます魅力的に見せる。
私には、レースの着物を着て踊る彼女の派手なステップのなかに、踊りに対するシースルーな(真)心が観てとれた。
プロフィール
小野直人
生年月日 | 1953年 |
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1953年 滋賀県大津市生まれ。日本大学・農獣医学部卒業。
小野牧場オーナー、総合学習塾 啓数塾塾長、構成作家(テレビ、ラジオ)を経て、現在は、あがりゃんせ劇場の木戸番として、多くの大衆演劇の劇団や幅白い大衆演劇のファンと交流をもつ。「KANGEKI」で「木戸番のエッセイ」を連載中。
劇団情報
劇団寿
2013年8月、黒潮劇団に所属していた寿翔聖が、新潟県の三条東映にて旗揚げ。「お客様に笑顔になっていただきたい」をモットーとし、少人数ながら太鼓ショーやオリジナルのお芝居などバラエティ豊かな舞台を展開し、ファンをつかむ。2017年9月に寿美空が若座長襲名。こどもたちの成長にも期待がかかる。