木戸番のエッセイ・天職先は大衆演劇!第28回おおみ愛里~おおみ劇団~前編(3/3)
Ⅰ
おおみ愛里は、本名を大山千愛理という。
生まれは1994年(平成6年の戌年)6月5日で現在29歳。ふたご座・O型である。
6月5日が誕生日の人は、とにかく『創造力を高める洗練された社交家』といわれている。
鉄の意志をもち、人に頼らない独立独歩のタイプ。とても印象的な人柄の反面、現実主義で、楽しみながら仕事をして成功させる。また、洗練された社交家で、特に美しく豪華なものに目がない。このことが、創造力を高め、音楽、芸術、演劇への興味をかきたてる。
※
千愛理は、群馬県みなかみ町の生まれである。
彼女の故郷は、利根郡にある町で、群馬県最北端に位置し、新潟県と県境を接する風光明媚な土地柄である。群馬県内で最も広い面積を持つ町域には、水上温泉郷や猿ヶ京温泉など「みなかみ十八湯」といわれる温泉郡がある。
そんなのどかな町に生まれ育った千愛理は、サラリーマンである父と看護師である母の一人っ子として元気に成長、最寄りの「みなかみ町立水上小学校」に入学、高学年からは「ソフトテニス」に熱中して、中学校に入っても後衛を担当して活躍をする。群馬県立沼田女子高等学校まで「ソフトテニス」を続け、県内大会の団体戦では、ベスト8までいっている。
千愛理には、もうひとつ、興味を引かれたものがあった。それは、みなかみ町立中学校の時のある出来事からはじまる。
千愛理が中学2年の時に、自らの将来を決定するような転校生がやってきたのである。その転校生の名前は田中裕太といった。愛想のいい、色白の男の子で、すぐに学校にも慣れた。
裕太は「大衆演劇」の劇団の長男であった。裕太の上には二人の姉がいて、3人きょうだいだった。その3人きょうだいが在籍している劇団は「おおみ劇団」といって、ファミリー劇団ではあるが、老舗劇団として全国に知られている。
その劇団が、平成16年2月に群馬県は水上温泉の「ホテル松の井」で2ヶ月間の公演を行うことになる。みなかみ町立中学校は、小さな学校だったが教育の一環としてホテル松の井で行われていた「大衆演劇」を全校をあげて観たのである。千愛理にとっては、初めて観る「大衆演劇」である。
千愛理は、大衆演劇を観たとき、その迫力と美しさにすっかり魅了されてしまったのである。その初「大衆演劇」をきっかけに、千愛理は「観劇」に夢中になり、休みの日には友達と連れだって「おおみ劇団」を観に行くようになった。
千愛理はホテル松の井の2か月間の公演が終わると、「おおみ劇団」の芝居や舞踊ショーが観らなくなるので、中学生である自分にふさわしい精一杯の「おおみ劇団」の追っかけを開始した。ホテル松の井を終了したあとは、近県で「おおみ劇団」が乗っている劇場やセンターを積極的に観に回った。
高校生になった千愛理は、ソフトテニスと「おおみ劇団」の追っかけが日常になった。 そして高校2年生の秋に、ついに「おおみ劇団」に入るために、高校を退学する決心をした。
(続く)
プロフィール
小野直人
生年月日 | 1953年 |
---|
1953年 滋賀県大津市生まれ。日本大学・農獣医学部卒業。
小野牧場オーナー、総合学習塾 啓数塾塾長、構成作家(テレビ、ラジオ)を経て、現在は、あがりゃんせ劇場の木戸番として、多くの大衆演劇の劇団や幅白い大衆演劇のファンと交流をもつ。「KANGEKI」で「木戸番のエッセイ」を連載中。
劇団情報
おおみ劇団
平成13(2001)年旗揚げ。おじである近江飛龍座長(近江飛龍劇団)のもとで 子役から経験を積んだおおみ悠総座長がのれん分けで独立。 平成29(2017)年1月よりおおみ達磨が若座長から座長に昇進。 おおみ総座長は座長のサポートに回り、新たな劇団作りに励んでいる。
おおみ劇団公演予定
- 2024年12月山桜 桃の湯(岩手県)
11/30夜〜12/24昼