かんげき2024年7・8月号Vol.90

旅芝居ささえびと第8回橘劇団マネージャー・鈴木優子さん劇場・劇団・お客さんから信頼される”スーパーマン”

劇場:池田呉服座取材日:2024年4月8日
旅芝居ささえびと 第8回 橘劇団マネージャー・鈴木優子さん 劇場・劇団・お客さんから信頼される”スーパーマン”

「橘劇団」に行くと、長いポニーテールをひらり翻し、お客さんを案内する鈴木さんの姿があります。笑顔を交わしつつ、手は素早く予約表を確認。劇団の「窓口」と「裏方」を両方務める、THE・シゴデキなマネージャーは、楽屋でも動き回っていました。

着付けをし、鬘を整え、着物を畳み、その間に炊事。「取材、私で良いんでしょうか?」と言う鈴木さんに、取材班は粘り強くオファーし、このたび登場していただきました。

鈴木優子(すずき・ゆうこ)さん。木戸でお客さんを迎えます。

取材日の朝には、橘劇団の子役・橘蓮斗さんの小学校入学式がありました。午前中は劇団員総出で入学式に出かける中、マネージャー・鈴木優子さんは池田呉服座の楽屋に残り、子どもたちと一緒に待機していました。

「今日はよろしくお願いします」と取材班と挨拶を交わす間も、子どもたちが「優ちゃん」と鈴木さんの手を引きます。

劇団の子どもたちは鈴木さんが大好き。
iPadを触りながら、鈴木さんのそばに自然とやって来る、かえちゃん。
カメラに興味津々のめいちゃん。

開演時刻は13時。12時半になると、木戸に立ちます。

劇場公演のときは必ず木戸を担当。朗らかさピカ一!


お客さんに鈴木さんの評判を聞くと、「なんでもできる人。木戸も、予約の窓口も、着付けも完璧です」。 裏で表で走り回る、マネージャーの仕事に取材班が密着。芝居の間に、これまでのお話を伺いました。

 

美容師時代、30分でしていた着付けを3分でやる

 

橘劇団に長くいらっしゃいます。

鈴木

はい。だいたい20年になります。

 

元は何をされていたのですか。

鈴木

美容師です。生まれは北海道なんですが、東京に出てきて修業して、新宿で自分のお店を出していました。

 

お店を持っていたのですね!

鈴木

あるとき浅草大勝館(※編集部注 2007年閉館)の社長が、東京中の美容室に、橘劇団の招待状を送ってくれたことがあって、それで初めて大衆演劇のことを知りました。招待の日は空いていたし、ちょっと行ってみようって行ったら、ハマりました。

 

いまの座長がおいくつぐらいの頃でしょうか?

鈴木

私が知り合ったとき、三代目は14歳でした。

 

本当に昔からご存じなのですね。

鈴木

そうですね。観劇に通ううちに、太夫元の北條寿美子先生と仲良くなりました。こんな商品ない?とか美容関係のお話をするうちに、楽屋を手伝うようになりました。三代目の着付けをしたり、総座長の奥さんがいないときは総座長の着付けもしたり。

でも、美容師としてやっていた着付けと全然違います。成人式でも30~40分かけて着付けるものを、3分で着付けなきゃいけないので、最初はどきまぎしました(笑)。それでも一応、基本は分かっているので、飲み込みは早いほうだったと思います。

その頃から、総座長の奥さんには本当に良くしていただいています。総座長の奥さんがいるから、いるようなものです。そう言うと総座長が怒るんですけど、俺は何なんだって(笑)。

「鈴木さんの着付けはピシッとしていて、動いても着崩れない」
お客さんから称賛される着付け。
スピードが肝!
出番の間に楽屋に戻ってくるメンバーを着付け。四條らいむさん。
北條みきさん。
ラストショー前に、座長の鬘を整えます。慣れた櫛遣いは元美容師!
鬘の網部分が潰れるのを防ぐため、紙を使って引き出しておきます。

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