KANGEKI2023年1・2月合併号Vol.75
舞台裏の匠たち第7回着付け師・大門良美さん(2/6)
今も有難いと思っていること
経理の仕事から楽屋へ飛び込んで、未知の世界での奮闘だったと思います。業界の常識などを教えてくれた先輩はいましたか。
良美
のぼる會の辰己龍子会長に、今でも、有り難かったな~と思っていることがあります。半年間一緒に回らせていただいたときに、大事なことを教えてもらいました。『とろふき』ってご存知でしょうか?
いえ、どんなものでしょう。
良美
お化粧を落とすときに使うタオルです。私はそれを洗濯機で洗わせていただいていて、洗濯機の周りをよく確認していませんでした。そうしたら龍子姐さんに、『良美ちゃん。とろふきを洗うと、洗濯機の浴槽がすごく汚れるの。だから、一回手洗いをするか、または洗濯機の周りを見て、掃除してね』って教えていただきました。いまだに龍子姐さんには有難かったなぁって思っています。
楽屋では役者さんたちから、「ねえね」と呼ばれています。
良美
『ねえね』って最初に呼んだのは、小さい頃の藤川ピカ助(藤川雷矢)くんでした。弟の真矢くん、妹のひなちゃん、叔父の藤川昭博くん、お母さんの正美ちゃんも同じように呼んでくれてます。
今では、みんなが『ねえね』って呼んでくれます。桂木昇座長、桂木千代ちゃん、龍児太夫元、秋よう子ちゃん、龍新くん、小龍優ちゃん、あず美ちゃん、梅乃井秀男さん、瀬川伸太郎さん、ありさちゃん、MINMIちゃん、一見好太郎座長、紅ア太郎くん、紅銀乃嬢ちゃん。本当に嬉しいです。
みんなのねえねなんですね。やわらかい呼び方の響き、良美さんにぴったりです。
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