お芝居小屋探訪其の二十八八幡センター(静岡市清水区)緑豊かな地でお芝居を届けて29年地元の憩い場
JR東海道本線「興津駅」から送迎車で県道196号線を北へ。 鮎漁が盛んな興津川に沿って30分ほど行くと、茶畑の緑豊かな河内(こうち)エリアに到着。 道の右側に白い大きな建物が見えてきたら、それが「八幡(はちまん)センター」です。
創業は1992(平成4)年。もともと別の場所で営業していた温泉施設を拡張するため、現在の場所に移転(現在は温泉ではなく一般のお風呂になっています)。
大衆演劇は年2回(6月と10~11月)開催。また、サッカーをはじめとするスポーツ合宿や遠征時の宿泊先としても知られ、年間を通じて多くの選手に利用されています。
それではこれより施設をくまなくご案内~!
目次
1.センター入り口
2.大広間(劇場)
3.館内施設
4.公演の様子
5.代表インタビュー
代表 山梨稲(やまなし ほずみ)さん
静岡にたくさんあったセンターも今はうちだけ。 なんとか守り続けたいと思います
大衆演劇公演を始められたきっかけを教えてください
創業は1992(平成4)年です。以前は別の場所でやっていたんですが、私の父である先代社長(神谷金吾氏)が、施設を広くしようということで、こちらに移って来たんです。
大衆演劇の公演をやるようになったのは、興行師さんからお話があったのがきっかけでした。
では途中から始められたのですね
そうなんです。でも舞台はあった方が良いだろうって、初めから作ってたんですよ。
なんと、先代に先見の明があったのでしょうか。
本当このために作ったのかなって思いましたね(笑)。杮落とし公演は座KANSAIさんでした。
こんな田舎で商売になるのかって言う方もあったんですけど、幕を開けたらお客さんがいっぱいで、役者さんがびっくりしてましたね(笑)。
うちには固定のお客様がついてくださっていたのが大きかったです。泊まりのお客さんも最初の頃は毎日150人を下ることはなくて、送迎バス12台がフル回転でした。
たくさんのお客様がいらっしゃったのですね。
一時期は毎月大衆演劇公演をしていて、座長大会も開いたこともありました。
でも、うちは団体のお客様が中心で、入らない月があるんですね。農家さんの繁忙期とか、お祭りがある月…。あとサッカーの合宿もあるので、毎月やるのは難しく、団体さんがこの月なら来れるよという時期を分析して、最終的に今の開催月(6月と10~11月)に決まりました。
サッカーの合宿!なるほど、大きな部屋が多いので合宿向きですね。
清水でサッカーの大会があるんですよ。先日も女子サッカーの子たちが150人くらい。もっと多い時もあります。
すごい、それは賑やかですね!
お客様の要望を取り入れたステージに
みんなで炭坑節を踊るフィナーレが楽しかったっです。
これはうちから劇団さんにお願いしてやってもらうようになりました。もう何年前だろう?お芝居の間ずっと座りっぱなしでしょう。だから最後に身体を動かして。こういうところが、他所にない、うちらしさだと思います(笑)。
大衆演劇の公演を開かれる際に大切にされていることは
お客さんの要望を取り入れることでしょうか。例えばお客さんがカラオケで歌った曲を、舞踊ショーで役者さんが踊ったり。わたしも会話からメモってお客さんの好みを覚えるようにしています。
「この団体さんは以前このお芝居を見ているから、今度はそれとかぶらないものをやってください」とお願いしたり。
そういう配慮はありがたいですね
また、高齢の方が多いので、うちでは演歌が中心です。なので演歌を聴きたい方はぜひうちに来てください(笑)
センターならではの大衆演劇の良さがある
今日も常連のお客様がすごく寛いでおられましたね
お芝居以外の時間も、みんなでお茶飲んで、愚痴を言い合って、ゆっくり過ごしてもらう。ここで仲良くなったと言う方も多くて、1人で来ても安心して過ごせると言ってくださいます。
劇場と違って、センターならではの大衆演劇の在り方があって、私はそういう大衆演劇が好きで、それを守りたくてやっているんだと思います。
コロナの影響で、センターで大衆演劇を続けるにあたり厳しいことも多いと思います
静岡のセンターがみな大衆演劇をやめてしまわれて、今はうちだけになってしまいました。コロナのこともあり、先のことはわからないんですけど、日々頑張るだけですね(笑)。
ありがとうございます。団体の方が多いとのことでしたが、カンゲキウェブをご覧の方は個人で動かれる方が多いと思います。もしお一人様でも電話予約で送迎していただけるのでしょうか…?
はい。事前に電話で知らせていただいて、JR興津駅まで来てくださったらお迎えに行きますよ~。
よかった、ありがとうございます。ではそのようにご案内させていただきます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします!
6.基本情報
八幡センター
〒424-0412
静岡県静岡市清水区河内415-2
電話: 054-395-2755
営業時間
日帰り:9時~15時
宿泊可能
開演時間
- お芝居:11時~12時
- 休憩・カラオケタイム:12時~13時半ごろ
- 舞踊ショー13時半ごろ~15時
入場料
- 個人:1,900円
- 団体:送迎と食事付きでお1人様3,000円から応相談
座席数
ソーシャルディスタンス期間:50~100席
最大300~400人収容
座席予約
電話予約可能
送迎
事前予約で最寄り駅「興津駅」まで送迎してもらえます
7.周辺情報
センター付近のお食事処
9.最寄駅情報
取材メモ
初めて伺ったのにすっかり和んでしまって、第2の故郷のように感じてしまいました。常連さんが勝手知ったる我が家同然に、どんどん自分たちで居場所を作っていく様子。子役さんを温かく応援する様子。それは日頃の労働から解放された人びとの、ひと時の休日…
迎えに来てくださった運転手さんが実は専属歌手の方と知り驚きました。気さくなお人柄で、とっても人気者でいらっしゃいました^^
そして、もう1つ、感動したこと。
山梨さんの言葉の最後に「ち」が付くのです。「うちっちの~」とか。これはもしかして森の石松が「俺っち親分次郎長が…」と言う時の、「っち」?
山梨さんに伺いましたら、語尾に「っち」をつけるのは清水の方言だそう。やっぱり?!(感動!w)すごく可愛らしくて、ちょっと真似してみたくなった、にわか静岡人です(笑)。
劇団情報
まな美座
平成14年(2002)12月1日、宮崎演劇場で旗揚げ。 劇団名は島崎寿恵総座長の祖父、初代山崎勇の劇団「学び座」にちなんだもの。 大衆演劇の枠にとらわれることなく、洋風のショーも積極的に取り入れ、華やかな舞台を繰り広げる。 キャッチフレーズは「見ごたえある、大輪の花が咲き誇る」。シリアスな芝居から大爆笑を誘う喜劇まで、幅の広い芸風で観客を魅了する。 2019年より「新生島崎寿恵」としても活動。 2021年6月19日、里見剣次郎座長襲名。
まな美座公演予定
- 2025年1月船生かぶき村(栃木県)
【劇団魁・まな美座合同公演】1/1~
劇場情報
八幡センター
静岡県静岡市清水区河内415-2