KANGEKI2022年6月号Vol.69

特集劇団九州男4月公演密着取材!お芝居「子別れ傘」

劇場:朝日劇場取材日:2022年4月6日
特集 劇団九州男 4月公演密着取材! お芝居「子別れ傘」

今回の密着取材は、大阪朝日劇場、4月公演の劇団九州男。

取材日は2部構成で、お芝居からの幕開け。第2部舞踊ショーのフィナーレ 「酔って候」まで、舞台袖の奮闘レポートと併せて、た~っぷりお届けします!

お芝居「子別れ傘」

あらすじ

15年前、日照りに苦しむ村人のために、水門破りの罪を犯し、島流しの刑に処せられてしまった新造。妻のおさよと娘おゆきに会いたい気持ちが抑えられず、島抜けをして村に帰ってくる。しかし、母から告げられたのは、おさよが再婚したと言う、悲しい現実であった…。

父と名乗れない男の哀感をたっぷりと、大詰めでは鋭い立ち回りで見せる、1幕3場の時代人情劇です。

配役

序幕 茶店前

今日はお祭り。おゆきが茶店を営む祖母にお祭りに連れて行ってとせがむ。
土地のやくざが顔に傷のある男を探している
「隠し立てするとためにはならんぞ…」 (シャキーン)
エキセントリックな用心棒
見つけたらすぐに知らせるように言う親分
「いかさま博打をするような奴なのだ」
しばらくして訳ありそうな旅人がやってくる
15年前に島送りになった新造が帰ってきた。
再会の喜びも束の間、告げなければならないことがあった…

第2場 おさよとおゆきの家

おさよは再婚し、おゆきにはもう新しい父がいる。父と名乗らない約束でおゆきに会う新造
二度の所帯を持ったおさよに手をあげようとする新造。止める母
村の人たちのために1人で罪を被った新造。やり場のない怒りを沈めて酒を受ける
新造から茶碗を取り上げるおゆき 「ちゃんの茶碗で食べないで!」
誰も悪くない。新造のてから酒が虚しく溢れるばかり…
おさよの再婚相手が帰ってくる。 役人である彼は叫ぶ
「お前は島抜け!」
事情を察して新造を逃がそうとする役人。金を渡すが新造は受け取らない
教えられた裏道へは行かず真っ直ぐに進む新造
「申し訳ねえが根っからのへそ曲がりだ」
雨が降ってきた おゆきに傘とお酒を届けさせる役人 「顔をよっく見てもらうんだ。お前もよっく見ておくんだよ」

大詰め 村はずれの御堂前

土地のやくざものがいかさま博打を見破られた腹いせに新造を追っている
御堂の前で休む新造。中にいた刺客に不意打ちをくらう
「うおおおお!!」
痛みを堪え返り討ちにする新造
傘を持ってやってきたおゆきに怪我を隠し笑顔を見せる
「最初は怖い人だと思ってたんだけど、優しい人なんだね」
「そう思ってくれるのかい」
また会う約束をする2人
後ろ髪を引かれる思いで立ち去るおゆき
深傷を負った新造にやくざたちが襲いかかる…

カンゲキ的見どころ

親子の情愛を描いたお芝居。良太郎座長演じる新造が、理不尽な目に会いながらもひたすら耐え忍ぶ姿に、心揺さぶられます。誰も悪くない。ただ、子供のため。子供を思ってしたこと…。
大詰めのおゆきとの別れの場面では客席からすすり泣きが。
竹林を模した舞台セットでの立ち回りはひたすら重く。緻密に切り替わる照明が、新造の心情を浮かび上がらせます。
ぜひ舞台で!

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