かんげき2023年7月号Vol.79
木戸番のエッセイ・天職先は大衆演劇!第25回花總ひびき編~劇団武る~後編2/2
Ⅲ
いよいよ、景子は劇団「武る」の門を叩く。もちろん劇団はウエルカムである。
劇団の中には、女性もいた。先輩女優の、月城小夜子や花總桃花である。
その先輩から、着物や化粧、鬘など大衆演劇の女優に必要なことなどいろいろを教えてもらって、デビューをむかえるに事になる。
木下景子は、芸名も「花總ひびき」となり、芝居に舞踊ショーにでるようなった。
そんなある日、自分が役者になる前に大衆演劇を見ていた懐かしい場所でも公演があった。
ひびきは各席を見て驚いた。
父親が、たくさんの友だちを引き連れて、自分を観にきているではないか。
胸があつくなった。
いよいよ父親との和解であるが、父親に正々堂々と、私の決断が正しかったことを認めてほしかった。私の勝利宣言を聞いてほしかった。
「わたしの信念が、お父さんを負かしたのよ。でも、いままで本当にありがとう。」
そんな、思い出深い老舗劇場も、2020年3月に閉幕した。
ひびきは劇団「武る」にはいって7年になる。
有言実行の役者である。
次の目標は・・。
筆者には、立役に力を入れて挑戦したいと、言っていた。
次に会った時には、立役になったひびきのチャンバラを観てみたいものである。
完
プロフィール
小野直人
生年月日 | 1953年 |
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1953年 滋賀県大津市生まれ。日本大学・農獣医学部卒業。
小野牧場オーナー、総合学習塾 啓数塾塾長、構成作家(テレビ、ラジオ)を経て、現在は、あがりゃんせ劇場の木戸番として、多くの大衆演劇の劇団や幅白い大衆演劇のファンと交流をもつ。「KANGEKI」で「木戸番のエッセイ」を連載中。