かんげき2024年5・6月号Vol.89
木戸番のエッセイ・天職先は大衆演劇!第29回おおみ愛里~おおみ劇団~後編3/3
筆者は、総座長のおおみ悠に、おおみ愛理にどんな女優になってほしいか、訊いてみた。
『もちろん、大店のお嬢様から、足抜けに失敗した女郎まで、いろんな役をこなせるような女優になってほしいですが、それには大衆演劇にこだわらず、映画を観たり、「ミュージカル」でも「アニメ」でも、なんでもみて、自分の感性を磨いてほしいのです。
私自身も励んでいることですが、女優としては、いかにたくさんの「引き出し」を持つということなのでしょうか」
15時55分になった。
今日のラスト前は、おおみ愛里の個人踊りに会場が沸き、彼女が お客様からお花を受けている。そして、愛里は、お客様になにかプレゼントをしている様。 そんな姿を観て、私は静かに劇場を出た。
廊下にでた時、私は背中に何かを感じた。
「なんだ?」
それは、2月にはまだまだ早い、暖かい春をよぶ「からっ風」だったのか。
「あつ!」
プレゼントの正体が解った。
そういえば、彼女のふるさとは群馬だ、と、いまさらながら思った。
(終)
プロフィール
小野直人
生年月日 | 1953年 |
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1953年 滋賀県大津市生まれ。日本大学・農獣医学部卒業。
小野牧場オーナー、総合学習塾 啓数塾塾長、構成作家(テレビ、ラジオ)を経て、現在は、あがりゃんせ劇場の木戸番として、多くの大衆演劇の劇団や幅白い大衆演劇のファンと交流をもつ。「KANGEKI」で「木戸番のエッセイ」を連載中。
劇団情報
おおみ劇団
平成13(2001)年旗揚げ。おじである近江飛龍座長(近江飛龍劇団)のもとで 子役から経験を積んだおおみ悠総座長がのれん分けで独立。 平成29(2017)年1月よりおおみ達磨が若座長から座長に昇進。 おおみ総座長は座長のサポートに回り、新たな劇団作りに励んでいる。