KANGEKI2021年10月号Vol.62
旅芝居女優名鑑第6回花形龍魔裟斗私にとって「お嬢」はめちゃめちゃ重い呼び名です(4/6)
第4章 病を抱えて立つ舞台
弾けるような元気印の魔裟斗が、深刻な持病を抱えながら舞台に立っていることについては、あまり語ってきませんでした。
役者辞めたいと思ったのは、舞台じゃなくて団体での生活にしんどさを感じた時ですね。しんどいなーってぼんやり考えて、でもやっぱり舞台好きだし無理だなって(笑)。
私にはこの道しかなくて、舞台が生きがいです。それにはお客さんの存在が大きいです。
持病の小児糖尿病がひどくなった時、余計に思いましたね。
これまでも年に1回、1ヶ月くらい入院をしていて、ある時ドクターストップがかかりました。 この病気は不規則な生活が一番ダメで、毎日同じ時間にご飯を食べないとダメ、食後に2時間は動いちゃダメとかって、そんなん、絶対役者やっちゃダメじゃないですか(笑)。
役者を辞めるか死ぬかと言われた時、泣きながら「死にます」と言ったという魔裟斗。
入院して、自分がどれだけお客さんに支えられたか、わかったんです。 入院することで病気が良くなるなずなのに、自分の存在価値がないみたいに感じました。
家族とも泣きながら喧嘩しました。
今も入院してくださいって言われてます。でも私は舞台がないと生きていけない。 こんなこと言っちゃっていいのかな、舞台やってて死ねるならそれでいいです。 それくらいイヤですね、舞台を離れるのは。
それもこれも、親と兄と、続けさせてくれたみんなのおかげで、昔は舞台が大嫌いだったのに、こんなに好きになるなんて思わなかったです。
今は毎日薬と注射で抑えて、出来るだけ気を付けながらなんとかやっています。
次ページ:第5章 「お嬢」の名にふさわしい役者に!