旅芝居女優名鑑第7回澤村かな~春陽座~(4/6)
第4章 コロナ禍での挑戦~ライブ配信・ゲスト出演~
再びプライベートでの転機。
2019年2月に離婚しました。自分たちは納得して決めたことですが、澤村心(さわむら しん)座長や劇団メンバーに心配をかけてしまいました。
ただ、煌馬が変わりました。「ごめん、ママ。俺、学校行かんでいいかな。もっと舞台やりたいから」と言いました。早く座長になるための芸を身につけたいって。
2020年、コロナ禍に突入。公演がままならなくなり、何とかしようと始めたのがネット配信(17ライブ)です。
コロナで仕事の目処が何ヶ月も立たなくなり、就職することも出来ないし、何かしなければと考えたときに、見つけたのがライブ配信アプリの「17LIVE(いちなならいぶ)」でした。
ライブ配信をすることで、劇団の宣伝ができて収入にもなります。 自分から友達作ったり、人前に出るのが苦手だった自分が、初めて勇気を出しました(笑)。
「17LIVE」の大衆演劇ライバーでは恋川純弥(こいかわ じゅんや)さん、近江飛龍(おうみ ひりゅう)さんに次いで私が3番目だったんですよ。え、まさか?でしょう(笑)。
忙しくても毎日30分は配信するようにしています。
やってみて本当に良かった。大衆演劇を知らない人が配信を見て劇場に来てくれたり、送り出しでちょっとしか喋れなかったお客さんともコメントで話ができて、絆が深まりました。
大衆演劇を全く知らない人に知ってもらいたくて、劇場では一切宣伝せずに始めたんです。普通の女子として配信して、職業何?って聞かれたら大衆演劇の女優をしてます、って答えてます。
コロナ禍以降の大きな変化はもう1つ。息子の澤村煌馬とともに、他劇団にゲスト出演するようになりました。
煌馬が、尊敬する役者さんのところに勉強に行きたいと言い出したのがきっかけです。
まだ未成年なので私がついて行くことになって、劇団さんから「来るなら出たら」って(笑)。
劇団さんには煌馬からお願いする時もあれば、私からお願いする時もあります。みなさん優しく迎え入れてくださって、煌馬は見て吸収する力が強いみたいで、すごくいい勉強させてもらっています。
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