KANGEKI2021年9月号Vol.61
木戸番のエッセイ・天職先は大衆演劇!第8回澤宗小春~劇団澤宗~(3/5)
Ⅱ
腹からの役者ではなく、一般的な家庭から大衆演劇の役者になるきっかけは、おおよそ親の影響である。 親が大衆演劇のことが好きで子供と一緒に劇場やセンターに行っている間に、子供が大衆演劇にはまり、結果、入団となる。
それは、宝塚歌劇やジャニーズでもおなじであるが、大衆演劇の場合は入団するのに、書類審査があるわけもなく、オーディションもない。もちろん入団試験もない。 親が劇団関係者と話をすれは、およそOKである。 大衆演劇の場合は、入団のハードルは非常に低いと考えられる。
小春の母親・容子(仮)は、大衆演劇のファンであった。
容子に家族ができると、自宅にほどちかいスーパー銭湯で大衆演劇を観るようになった。 容子には、4姉妹がいた。 いわば、オルコットの「若草物語」や、谷崎潤一郎の「細雪」である。 彼女は、その4姉妹をつれて、大衆演劇にいったものである。
※
高校生になった小春、「若草物語」でいえば長女メグであるが、物語の中では、美しくやさしい長女であるが、本人は当時「少女時代」に憧れる一般的なJKであった。 母親と一緒に行った劇場で、はじめて劇団「澤宗」の芝居や舞踊ショーを観たのである。
筆者の個人的な見解ではあるが、大衆演劇を始めて観たお客さんは、始めていたその劇団のファンになることが多く、その後、追っかけになっている人を筆者は何人もみている。
そんなこともあって、家族で劇団「澤宗」のファンになった。