KANGEKI2022年9・10月合併号Vol.72
木戸番のエッセイ・天職先は大衆演劇!第19回あつし~花柳願竜劇団~後編(2/4)
劇場:スパリゾート雄琴 あがりゃんせ

Ⅳ
2017年のことである。 その春には、「花柳願竜劇団」に衝撃が走った。
なんと、看護師になっていた長女と、幼児園の先生を目指していた次女が、女優になるために劇団に戻ってきたのである。
座長の号令ではない。彼女たち自身の決断であった。 もちろん、彼女たちは劇団の実情も知っていてでの決心である。 看護師をしていた長女は、病院内部でも将来を嘱望されていて、看護師をやめることに報告したときは、上司の看護師に退職を猛反対された。
しかし、長女はキャリアアップより、家業の劇団をとったのである。 これが、花柳のDNAのなせる業なのか。
同じ時期に、潤平も劇団に入団した。
潤平は、あつしとは同じ専門学校の同級生で、友達関係であった。だから気心はわかっていて、信頼できる人物の入団であった。
と言っても、劇団ではあつしが先輩になる。
あつしも後輩の役者ができて、ますます役者としての自覚をもった。
劇団に戻ってきた長女は、「花柳竜乃」となり、ほどなく若座長になった。
次女は「香賀峰子」となり、劇団のなかでは、仲の良いあつしのライバルとなってきた。
そんな2人ではあるが、先に頭角を現したのは、あつしであった。 座長に推されて、若頭になった。
それに刺激をうけてがんばったのが峰子である。その頑張りが、お客さんの目にとまり、6月にあがったあがりゃんせ劇場では、「花形」となり、ますます芸に磨きをかけている。