木戸番のエッセイ・天職先は大衆演劇!第36回副座長咲田せいじろう前編~劇団松丸家~

大衆演劇の劇団の多くは座長とその家族で構成されている。 役者の家系に生まれた、いわゆる幕内の人間が過半数を占める中、一般家庭から役者になった人もいる。 何がきっかけでこの世界と出会い、日々過ごしているのだろうか? 劇場オープンから9年、木戸番兼劇団のお世話係を務めてきた著者が綴る実録エッセイ。 第36回は劇団松丸家(げきだんまつまるや)副座長咲田せいじろう(さきた・せいじろう)編・後編です!
はじめに
令和6年10月、新政府の誕生に世の中が湧いたが、かつてからの問題であった「少子化高齢化問題」、つまり子供の数は増えず高齢者の数のみが増え続けるという社会構造の是正はかなり難しく、日本国のアキレス腱になっている事が明白になってきた。 とくに、若い世代が結婚のみならず、男女の交際にも興味を示さないと聞いた。
昭和から令和にわたる時間の経緯の中、若い男女が知り合う方法がいろいろ変わってきた。
最近は、若い社会人の男女が知り合う方法としてマッチングアプリを利用して カップルの成立をはかるらしいが、私が大学生の頃、つまり1960年以降 では「合同ハイキング」(合ハイ)というものがあって、若い男女がグループで自然豊かな環境でハイキングを楽しみながら「恋愛」を探すのである。 私自身、そんな合ハイで、妻とめぐり合った思い出がある。
その後、1980年ごろには「男女合同コンパ」(合コン)が主流となり、親睦を深めるために飲み会を行った。
お酒を飲むと言っても、一対一の場合は、なかなか趣向を凝らしたものが出て来た。 古い話で申し訳ないが、例えばバーに行って、気に入った人がいれば、バーテンダーに頼んで、相手の好きな酒をプレゼントしたものである。 そうやって、男女の距離を縮めていったのも事実である。
こんな場合もある。 パチンコ店でパチンコやスロットを打っているシーンでは、気になる人を発見すると「コーヒー」をプレゼントして気を引く。 もらった相手も、会釈で返す。
そんなパチンコ仲間から発展して、紆余曲折はあったものの最後は結婚までたどり着いた役者がいた。
劇団松丸家の副座長 咲田せいじろう、その人である。
今回は、もともとトラックの運転手だった彼が、大衆演劇の女優の夫になり、21歳のときに一念発起して役者になった「咲田せいじろう」の役者人生を紹介する。
乞うご期待!