かんげき2023年11月号Vol.83

旅芝居ささえびと第6回金沢おぐら座社長鷹箸直樹さん「劇場は、もっと色々な人のもので良いと思うんです」

劇場:おぐら座取材日:2023年9月3日
旅芝居ささえびと 第6回 金沢おぐら座 社長 鷹箸直樹さん 「劇場は、もっと色々な人のもので良いと思うんです」

今年、15周年を迎えた大衆演劇場「金沢おぐら座」は、金沢駅からIRいしかわ鉄道で7分。

「森本」駅を降りて目の前です。

入り口で目に飛び込んでくる、社長の誕生祝いのタペストリー。

取材担当が劇場を探検してみると、社長作の愉快な掲示物があちこちにありました。たとえば…。

窓の外側のプレート。「勇気を出して 君ならできる!」励ましに思わずニッコリ。

劇場内Wi-fiがあります。まさかの精神論。(実際はサクサク通じました)

お手洗いの個室。うまい!

「ちょっとしたところで、フッと笑いが生まれたほうが楽しいですから(笑)」と語る、鷹箸直樹社長。

金沢おぐら座社長 鷹箸直樹(たかのはし なおき)さん

おぐら座の陽気な雰囲気に惹かれ、「劇場のファンになった」と、遠方から来るお客さんもいます。舞踊ショーのZOOM配信、商店街一座、自慢のたこ焼きなど、ユニークな注目ポイントがたくさん。金沢の地で大衆演劇を根付かせてきた、鷹箸さんの15年を伺いました。

ドラマー時代

鷹箸

流れ流れて金沢にいるんですが(笑)、出身は群馬です。新潟大学に行ったんですけど、1年生を 4回やって中退したんですよ。一回も進級できず。

 

勉強より夢中になることがあったのでしょうか?

鷹箸

剣道とバンド活動です。知り合いの縁で金沢に来たあと、求人雑誌で見つけた、ライブバーみたいなお店のドラムの仕事を8年ぐらいやりました。お酒を作ったり、接客したりしつつ、一日3回の生演奏をするんです。そこで、ステージの魅力にすごく惹かれていきました。

 

魅力とは?

鷹箸

生演奏が終わった後って、お客さんみんなと仲良くなるじゃないですか。みんなで一つの舞台を観て、一体になる。自分でこういうのを発信したいなと思っていたときに、親戚にあたる舞踊家さんから、『大衆演劇をやりたいから手伝ってほしい』と声をかけられて。場所は、ここの隣町でした。

 

それが大衆演劇との出会いだったのですね。

鷹箸

はい。それまで大衆演劇のことは全然知らなかったんですけど、初めて観たらすごく面白かった。自分がやってきたステージと、同じものを感じたんですよ。舞台も客席もみんなが、ワーッとなれる感じ。客席でおばあちゃんが高校生にお菓子あげたりしているのを見て、ああ、良い空気やなって思いました。

その場所で一年やって、僕は手伝いで、たこ焼きを焼いたりしていました。でも結局、採算が合わないからやめるっていう話になったとき、このタイミングだなと思って、『ぜひ引き継がせてください』と言ったんです。

毎月、劇団員全員のプロフィールを貼り出しています。プロフィール用の写真は、送り出しの後などに鷹箸さんが撮影。

初めは、目の前の課題をクリアすることだけ

鷹箸

当時、この森本商店街も寂れていて、空き店舗対策として、駅前の施設に劇場を入れられることになりました。昔はここ、スーパーマーケットだったんですよ。

 

どうりで広いと思いました!

鷹箸

劇団さんの楽屋に当たる場所は、スーパーのバックヤードでした。冷蔵庫がそのまま残っていたので、冷蔵庫のドアを取って、そこを部屋にして、化粧してもらいました。ロビーにあたる場所は、売場でしたね。

かつてスーパーの売場だったロビー
もとの広さを活かし、靴を脱いで上がるお休み処もあります
鷹箸

僕は素人だし、劇場も何もない状態でオープンしたので、劇団さんには毎月怒られていました。初めは劇場として、引け目しかなかったですね。必要だと言われた舞台道具を、一つ一つ、作りました。本当に意地で、ひたすら目の前の課題をクリアすることばっかり考えていました。

 

一通りのものが揃うのに、どのくらいかかったのでしょう。

鷹箸

やっぱり3年はかかりましたね。ひと息ついたときに、町にやっと目が向きました。森本の町と大衆演劇、両方win-winになるには?と、考えるようになりました。

2ページ:地域とつながることがテーマ

アトムプリント Tシャツなど各種衣類へのオリジナルプリント
アトムボックス 衣装ケース メイクボックス
役者さんにプレゼントしよう!劇団プレゼント 販促・舞台グッズ