旅芝居ささえびと第6回金沢おぐら座社長鷹箸直樹さん(2/5)
地域とつながることがテーマ
飲食が非常に充実しています。観劇のお客さんだけでなく、地域の方が食事目的で来られたりするのでは?
来てくれています。駅前なので、近所で工事してる人が、昼休みにご飯を食べに来たり。地元の高校生がたこ焼きを買って、外のテラスで食べてくれたり。たこ焼きは劇場の外からでも買えるようにしています。地域とつながるっていうのは一つのテーマですね。
もしかしたら、飲食目的の方も、そのうち観劇されるかもしれません。
それも狙っています。たとえば、たこ焼きの焼き時間が15分くらいあるので、焼けるまで芝居観て良いよーって言うときが時々あるんです。すると、けっこう初めての人でも『面白い』って言いますね。とにかく接点をつくりたいです。大衆演劇は、観てみたら面白いと思う人がたくさんいると思うので。
地元への宣伝はどのように?
ポスターは毎月400枚くらい作っていて、劇団が替わるたびに、100 店舗くらいは自分で貼りに行ってます。金沢市中に。残りはお客さんがいっぱい貼ってくれます。ありがたいですね。
お客さんが劇場に入って来ると、スタッフの皆さんが「〇〇さん、お帰り」と迎えていますね。
僕たちスタッフは、お客さんの名前は、ほぼほぼ覚えています。名前を呼ぶと、高齢のお客さんは特に嬉しく思ってくれるみたいですね。この地域は高齢化が進んでいて、一人暮らしの人も多いですから。お客さんに対し、人として、家族として接する、そういう劇場にしたいです。
命日に故人と一緒に観劇
2022年6月21日、おぐら座では「あの世この世祭り」をやっていました。お客さんが亡くなられたご家族などの遺影を持ってきて、故人と一緒に観劇するというイベントに、衝撃を受けました。
あの日は、めっちゃ盛り上がったんですよ。遺影持ってきたら千円にしますって言ったら、75人も来てくれました。そして遺影が87。
あの世のお客さんのほうが多かったのですね!
そうです(笑)。遺影を並べてみんなで観ているんだけど、すごく温かい、良い空気になりました。この人はうちのおじいちゃんで、とか、普段話さないことをみんな話してくれて。愛犬の遺影を持ってきてくれた人もいました。遺影の分も大入りにカウントしました!
第2回の予定はあるのでしょうか。
あれはやりたいですわ~。うちのお客さんは、イベントじゃない日でも、身内の命日になると、遺影を持って来る人がけっこういるんです。『今日は一緒に観させてください』って。ちゃんと、遺影の分の席も予約して。お母さんの分、って。日本文化は、もともとそういう心を大事にしてきたはずだし、いまはその心があまりにも無くなりすぎているから、おぐら座では大事にしたいですね。
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