KANGEKI2021年5月号Vol.58

特別インタビュー特別インタビュー「紅蓮の雪」遠田潤子さん~大衆演劇が小説の舞台に!~(3/3)

取材日:2021年4月6日
特別インタビュー 「紅蓮の雪」遠田潤子さん ~大衆演劇が小説の舞台に!~ (3/3)

「何でもあり」と「それでも生きていく」

 

遠田さんから見て大衆演劇で一番魅力を感じるところは

遠田

やっぱり何でもありなところでしょうか。 とにかく客を楽しませることなら何でもやろうという、バイタリティが魅力と思います。 想像の斜め上をいくようなことがあって(笑)。

 

「紅蓮の雪」というタイトルがとても鮮烈ですね

遠田

編集さんが「紅蓮」という言葉が好きなんですよと言って、じゃあ舞台に雪が降るからそれと合わせて「紅蓮の雪」ってかっこいいなって。

 

このタイトルが大衆演劇そのもののように思いました。人間の本能的なドロドロしたものと儚く綺麗なもの、両方があるからこそ惹かれるというか…

遠田

橋本正樹さんの本の中には、正直ひどいエピソードも出てきました。無鉄砲というだけでは済まされないような。綺麗なだけじゃない、そういう迫力を出したいと考えた時、この「紅蓮」という言葉がハマったんじゃないかと思います。編集さんに感謝ですね。

 

ちなみに、ラストは始めから決めておられたのでしょうか

遠田

「それでも生きていく」というところに着地させることは最初から決めていました。

人生うまくいかなかったり、辛いことがあった人の駆け込み寺的なところが、大衆演劇にはあるように思います。何でもありな世界だからこそ、受け入れてくれるのではないかと…。

それぞれの夢の劇団に出会う

 

最後に、大衆演劇ファンに向けて、一言メッセージをお願いします

遠田

にわかファンなのでお恥ずかしいのですが、皆さんもそれぞれ心に理想の劇団、理想の役者さんとか女形がいると思うんです。こんな劇団を見たいな、あったら良いなって。

夢を叶えるつもりで私も書きましたので、皆さまもそういうつもりで「紅蓮の雪」を読んできただけたら嬉しいです!

 

今日は本当にありがとうざいました!

プロフィール

遠田潤子(とおだ じゅんこ)
1966年大阪府生まれ、関西大学卒。2009年、第21回日本ファンタジーノベル大賞受賞『月桃夜』でデビュー。2012年『アンチェルの蝶』(第15回大藪春彦賞候補)、2016年“本の雑誌が選ぶ文庫ベストテン第1位”に『雪の鉄樹』が選ばれる。他『冬雷』『ドライブインまほろば』(第22回大藪春彦賞候補)『蓮の方式』『銀花の蔵』(第163回直木賞候補)など多数。

「紅蓮の雪」

2021年2月5日発売
発行:集英社
1,980円(税込)
四六判/320ページ
ISBN:978-4-08-771738-9

 伊吹の双子の姉・朱里は20歳の誕生日を向かえた日、なんの前触れもなく自殺した。朱里の遺品の中から大衆演劇「鉢木座」の半券が見つかり、それが死ぬ前の最後の足取りであることを知った伊吹は、少しでも真相に迫るべく一座の公演に行った。公演後、座長に詰め寄る伊吹の姿を見た若座長の慈丹は、その容姿を見初め、入団を強く進めた。伊吹は何か手がかりが掴めるのではと入団を決意し、以降、訓練と舞台に追われながらも、「女形」としての人気も得始めていた。そんなある日、ひょんなことから両親と鉢木座との繋がりが露見することに。それは鉢木座の過去に秘められた禁断の事実だった……。血脈に刻まれた因縁、人間の最果てと再生を描いた問題作。
集英社作品サイトより

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紅蓮の雪
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インタビューメモ

「この小説が映画やドラマになったら良いのでは?」読みながら思われた方も多いようです。
「話があれば良いですね。機会があれば続編も書きたい」と遠田さん。
それには既刊の成果が鍵だそうです。
続編を読みたい方、映画で観たい方、ぜひぜひエールを!

取材:加藤わ呼
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