KANGEKI2022年7月号Vol.70

特別公演劇団美山祝!四代目誕生里美こうた座長襲名・誕生日特別公演特別狂言「中村仲蔵」

劇場:梅田呉服座取材日:2022年4月26日
特別公演 劇団美山 祝!四代目誕生 里美こうた座長襲名・誕生日特別公演 特別狂言 「中村仲蔵」

里美版「中村仲蔵」
あらすじ

 中村仲蔵は6歳より歌舞伎役者・三代目中村伝九郎の弟子入り。名家の出ではないが、芸の才能があり、誰よりも稽古熱心で、座頭からも一目置かれるようになる。しかし、仲蔵を妬む京之介の策略によって、大事な場面で失敗してしまい、伝九郎に破門にされてしまう。

 一度は役者を諦める仲蔵だったが、妻のお春に励まされ、再び中村座の門を叩く。伝九郎は「一番下の幕引きから始めよ」と言い、一層厳しく当たる。

 次の舞台は『仮名手本忠臣蔵』。仲蔵に与えられたのは「弁当幕」と呼ばれる五段目の斧定九郎で、セリフはたった一言の、目立たない役。

それでも仲蔵は、どんな役でも役者の工夫次第でお客は見てくれると必死で考える…。

講談や落語で知られる歌舞伎役者の立志伝を、里美こうた座長が自身の役者人生と重ねて脚色。1幕17場の大作です!

配役

序幕 中村座「忠臣蔵」の稽古中

中村座の舞台では忠臣蔵の稽古中。 左より中村京之介、三代目中村伝九郎
三代目に手拭いを届ける仲蔵。
伝九郎に憧れこの道に入ってきた。しかし伝九郎は仲蔵に芸に奢りがあると厳しく当たる
親友の孝蔵が慰める
「いつでもお前の味方だからな」
幼なじみのお春が届け物に来た
お春「誰が育ってないって?!」
仲蔵「何も言ってねえよう」

第2場 志賀山流 仲蔵の実家

母が倒れたと仲蔵を呼びにくる姉のお花
「仲蔵。志賀山流を守って。おっかさんの命がかかっているのよ」
1人で忠臣蔵の稽古をする仲蔵。
「やっぱり俺は芝居がしたい。俺は芝居が、でぇ好きだ…!」

第3場 中村座 三代目中村伝九郎の居室

師匠である伝九郎を通り越して座頭にお金の相談したことから破門を宣告される仲蔵。 弟を庇うお花
「あんたはちっちゃい時からずっと我慢して。人の陰口も言わない。稽古ばっかりやって。姉ちゃん、あんたを誇らしく思うよ。あんたが弟でよかったって。甘えたいときはいつでも甘えておいで」

第4場 大川端

中村座を破門になり、死のうとしたところを通りかかりの侍に助けられる
「股を広げてこう言うんだ『今の言葉、忘れるなよ』これで相手はすくんで何も言えない」 「貴方の名前は?」
「名前はない。強いて言うならそなたの心の友よ」
仲蔵を慰める祐吉。
「お前との付き合いも16年。実の兄弟以上にお前のことを思っている。お前の取り柄は優しさだ。稽古でも皆のことばかり考えて、お前のそういうところが大好きだ。また必ず戻ってこれる…仲蔵も26、私は42だ」
お春「あんたは舞台しかない。お客様の心を打つ立派な役者になって。困ったことがあったら言っておくれ。物に当たったらいけない。私やかーくんに当たりなさい」
「それともう1つ。稽古は短くしてね…寝てないの。お腹すいたの(笑)」
「生きていても役者ができねえくらいなら、この命を…と思ったこともあるよ。でもみんなが助けてくれた。俺には心の友もいる。おめえの言葉で崩れかけた心を立ち直すことが出来たよ」

第5場 志賀山流 仲蔵の家

役者を辞めて実家の志賀山流に戻った仲蔵。しかし母お俊は仲蔵の心を見抜いていた 「芝居が見たい。連れて行っておくれ」

第6場 中村座

中村座へ繰り出す仲蔵たち
舞台で三番叟が始まる
舞台に触発された仲蔵は1人で三番叟を舞う 「からくり人形が三番叟を舞いまする」
仲蔵に自分の好きな道を行けと言うお俊「お前ほどの役者はない。太鼓判を押すよ」

第7場 志賀山流 仲蔵の家 

母が亡くなり弔いを済ませた仲蔵とお春。いよいよ中村座に戻る決心をする仲蔵

第8場 伝九郎の居室

入門の許しを乞う仲蔵に、伝九郎は一番下から始めよと言う。 以前にも増して厳しい道が始まる
座頭の覚えのいい仲蔵を妬む京之介。もう次の舞台に立つと言う仲蔵に恥をかかせようと企む

第10場 中村座の舞台

「幡随院長兵衛」の大詰め 幡随院を演じる伝九郎
キメのところで仲蔵への野次が飛ぶ 「この下手くそ!」
動揺する仲蔵。 芝居がぶち壊しにしてしまう
舞台を壊されて激怒する伝九郎
京之介が「罪人」の札を仲蔵の首にブラさげ、楽屋を引き回す
「この者、芝居を損ないし者にて候」

第11場 中村座の舞台 

座頭が「忠臣蔵」の五段目の斧貞九郎を仲蔵にやらせると言う

第12場 「忠臣蔵」の稽古

稽古が始まる。伝九郎によってどんどん演出が変えられて…
出番を短くされ、台詞もたった一言に削られてしまう。これでは何も出来ないとさすがに仲蔵も反発する
「今の言葉、忘れなさんなよ…!」
「???」

第12場 座頭の居室

仲蔵への厳しさを座頭から咎められても聞き入れない伝九郎
「人一倍あいつのことが可愛いくせに。困ったなあ」

第13場 稽古場 

三代目に意見する孝蔵。 2日後に仲蔵から本心を聞こうと言う

第14場 居酒屋

役作りに悩む仲蔵
役者が工夫をすればお客はきっと見てくれる。たった一言で弁当を食う手を止めさせるにはどうしたらいいか
そこへ雨に降られてずぶ濡れの侍が入ってきて…
「これだこれだーっ!!」

第15場 居酒屋の裏

1人で酒を飲む伝九郎
仲蔵の声が聞こえる「俺は若太夫の芝居が大好きだ。超えられないけど食らいついていく。これから先も若太夫の一の弟子、中村仲蔵でやっていきてえんだ」
伝九郎が孝蔵に語り始める 「一度だけ、あいつがこんなことを言った。俺の袂を握りしめてな、先生、おいらには帰る道はねえ。おいらを見捨てねえでくれと。あいつを名題看板にしてやりたいこそ、厳しくしている」
「俺とあいつの20年。俺が育てた弟子っこが根性なしじゃ困るんだよ。あいつは俺の宝物なんだ」

第16場 「忠臣蔵」開演前

「忠臣蔵」五段目が始まる。 支度にかかる仲蔵。水の入った桶を持って…
水を浴びる。1回
2回。
3回!
斧貞九郎の支度出来上がり。いざ!

大詰め 「忠臣蔵」五段目

男を襲い金銭を奪う斧貞九郎
「五十両…!」
客席は静まりかえっている。
「うけなかったか…」
しかし…
「仲蔵。よかった!」
「本物の役者っては心を射抜くんだ。心の中じゃあみんなが拍手している。俺が一度たりともお前を褒めたことがあるか?」
「てめえが今日から大看板だ。一緒に背負って行こう」 ここに四代目座長が誕生!

カンゲキ的見どころ

超贅沢!劇中劇がいっぱい

上演時間3時間の大作。その中に織り交ぜられた劇中劇は、いずれも本番舞台さながらのこしらえで、まるで歌舞伎の名場面ダイジェスト!

「忠臣蔵」
「幡随院長兵衛」
「三番叟」

四代目座長へのリアルなメッセージ

苦境を乗り越え成長していく役者・中村仲蔵に、四代目座長里美こうた自身を投影した演出。役名には出来るだけメンバーの名前を入れ、劇中のセリフとして、四代目に対する思いを語る趣向になっています。

普段は面と向かって言えないことも、今日は役の姿を借りて語られてゆく…
それぞれの愛情溢れるメッセージに、もらい泣きする人続出でした。

カーテンコール

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