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KANGEKI2022年11月号Vol.73

舞台裏の匠たち第6回難波の舞台化粧品専門店「美壽屋」(3/6)

取材日:2022年8月9日
舞台裏の匠たち 第6回 難波の舞台化粧品専門店「美壽屋」(3/6)

2回目からは好みがわかっているように

 

大阪の大衆演劇の劇場はこの10年でドッと増えました。美壽屋を訪れる役者さんも増えているのでは。

前田

ありがたいことに、役者さん同士の横のつながりでうちをご紹介していただいたり、新しく劇団を立ち上げるときにご利用いただいたり。色々なご縁で、今は大衆演劇のお客様がものすごく増えています。

三河家諒さんの化粧前より。左の刷毛に丸に寿のマークが。
 

劇団は全国を移動しますから、遠くに行かれたときは?

前田

お電話で化粧品の注文を受けて、発送しています。翌日に着くように。やっぱり、皆さん『できるだけすぐ欲しい』という感じなので(笑)。出前を注文する感覚に近いのかもしれません(笑)。

それにできるだけ応えて、お客様の思われるように届けるということを心掛けています。

 

スピーディな世界ですし、毎日、昼夜で化粧されますから、消費量も多いと思います。化粧品が必要になるサイクルもかなり早いのでは。

前田

早いですけど、買い方は皆さんそれぞれです。というのは、役者さんそれぞれで、好みが本当に細かいんですよ。

たとえば白粉一つ取っても、種類や金額の違いがあって、この人はこれという風に使われるものが決まっている。やっぱり、うちはその細かさに応えていかないと。

商売を成り立たせるには、1つのメーカーだけ置いていてもダメです。昔からこの繰り返しで、役者さんがこういうのが必要だとおっしゃるのに応じて、だんだんアイテム数が多くなってきました。

そのアイテムはありませんと言ったら、それでおしまいなんだけれども、そうはいかない。それを揃えるのが仕事です。

普通の化粧品をメーカーから仕入れて、一般の人に売っているという商売ではないので、舞台化粧品はやっぱりちょっと奥が深いと思います。

 

奥が深いと言うと?

前田

役者さんというのはまどろっこしいことは避けて、ツーと言ったらカーとわかってほしいという方が多いですから。極端な話、1回ご利用いただいたら、次回からは『もう全部、自分の好みはわかっててほしい』と、思って来られるわけです(笑)。

 

2回目のご利用からは、「美壽屋さんはもう自分のことを知っているはず」と。

前田

そう!役者さんって、そうなんです。大衆演劇の役者さんは、それが強いかもしれませんね。『この前の注文のとき言ったから』って、この前というのが何ヶ月前でも、1年前でも、そう思われるみたいです(笑)。

 

どうやって各役者さんの好みを覚えているのでしょうか。

前田

注文はノートに控えて記録しています。1回1回、丁寧にやっていくのみ。その積み重ねしかないですね。

 

「流し目のスナイパー」の名で知られる、竜小太郎さんもこちらへ来られています。ご自身のYouTubeチャンネルで、美壽屋さんを訪問されていました。

「竜小太郎チャンネル」の2021年12月の動画に美壽屋が登場
前田

はい、竜小太郎さんにはずっとお世話になっています。うちのドーランを気に入ってくれて、周りにもすごく薦めてくださいました。

前田さんに伺った、竜小太郎さんのおすすめドーラン。発色が抜群です

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