KANGEKI2022年11月号Vol.73

舞台裏の匠たち第6回難波の舞台化粧品専門店「美壽屋」(5/6)

取材日:2022年8月
舞台裏の匠たち 第6回 難波の舞台化粧品専門店「美壽屋」(5/6)

かんざしの柄は奥様デザイン

 

かんざしは「夢の花」「蝶の行方」など、名前がロマンチックですね。

美保

名前は私が勝手につけています(笑)。

ずらり並んだオリジナルかんざし
1つ1つに名前が付けられています
前田

ここにある商品は、全部オリジナルです。柄については、家内がほとんど考えています。

 

奥様は、どこかでデザインの勉強をされたのでしょうか。

美保

美術は好きでしたけど、特別学んだということはないですね。

 

すごいです。奥様のセンスがあってこそのオリジナルデザインなのですね。

前田

最近、美壽屋で売りにしているのが、蒔絵の『ぼかし』です。グラデーションですね。それもこの人(美保さん)が、グラテーションのかんざしができないかと言ったのがきっかけです。

そこで技術のある蒔絵師に相談して、ふわ~っとした感じの、かんざしができるようになりました。できるだけ美壽屋で作ると言いつつ、全部を自分たちの手で作れるわけではないので、職人さんも大事にしています。

ぼかしの技術を使ったかんざし
グラデーションが、役者さんが着けたときにも柔らかい印象を与えます
美保

漆塗りなので色も長い間変わらないですし、蒔絵師さんは、すごく良い仕事をして下さっています。お椀やお重の蒔絵の柄を見ると、こんな柄も良いなぁ、この柄はどこかに使えないかなぁ、といつも思います。

前田

外食に行っても、器見て『これ、かんざしの蒔絵にいけるなぁ』って言ったり(笑)。家内の頭には、常にかんざしの柄のことがあるみたいです。それから、かんざしは常に少量生産にしています。

 

たくさんは作らないのですか?どうしてでしょう?

前田

ある座長さんにうちのかんざしを買っていただいたら、他の劇団さんと同じ絵柄が被らないようにです。だから常に新しい柄を創作しています。

そうすると、『新しい柄ですよ、これはまだどなたも持っておられませんよ』とお薦めできるので。難しい言葉で言ったら、それがうちの企業努力ということですね。

 

「オンリーワン」を望まれる役者さんの心をつかむのですね。役者さんとの打ち合わせはどのように?

前田

今は LINE があるので、画像を見ていただければ一目瞭然です。昔は電話しかなくて、口で説明したり、写真のコピーを取って送ったりしていました。

 

役者さんから依頼があったら、難しい注文も、基本は受ける方針なのですか。

前田

もちろん100パーセントはできませんけど、出来る限りやらせていただきます。

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