舞台裏の匠たち第8回羅い舞座京橋劇場棟梁・岸本健司さん(3/5)
場面転換は、とにかく幕間を短く
舞台の本番中のお仕事は。
芝居は、一秒でも幕間を短くするために、次の場面の準備をしています。たとえば一景目をやっているときに、もう二景目、三景目の準備を裏で進めておいたり。中割り幕の後ろに、次の舞台を作っておくこともあります。それだけ早く、次の幕に行けますから。
京橋の舞台は広いですが、どの辺りが岸本さんの準備の位置なのでしょう。
出はけ(役者の舞台への出入り)に影響しないところや、舞台袖にいます。
道具方は、岸本さんお一人ですか。
そうです。でも道具を動かすのは、劇団さんが手伝ってくれます。花吹雪さんはこれまでに9回、京橋劇場に乗っている劇団さんで、勝手をわかってくれているので、僕が舞台袖に用意しているものを見て、一緒に動かしてくれます。
特に芝居中は、僕も劇団さんも、とにかく次の場にすぐ行きたいので、気がついた人みんなで手を貸して、一斉に動きます。
495席の劇場の棟梁
一日の勤務時間はどのくらいですか。
11~21時くらいですね。
お休みは?
基本は休演日です。あとは、劇団の裏方さんがたくさんいて、この日は劇団だけでやるよって向こうから言ってくれるときに休む感じです。たとえば芝居が、舞台転換のない一景ものの日とか。
大衆演劇に来てから、年末にまとまった休みがあるのが、ありがたいです。大衆演劇以前の仕事は、カウントダウンイベントなどで年末の休みもなかったですから。
劇場オープンから今までで、一番忙しかったのはどの時期ですか?
2019年ですかね。劇団さんのあんなことやりたいっていう要望が多かった年だったかなあと思います。
大衆演劇の専用劇場としては全国最大クラスなので、イベントも多いです。
495席あります。大きいイベントを打って、どれだけお客さんが来ても、基本は入れる劇場です。だから劇団さんは、周年公演をここでやりたいとか、誕生日公演は月をずらして京橋でやるっていう風に、イベントを持ってきてくれることが多いんです。
イベントのない日でも、せっかく京橋に乗ったんだから、大仕掛けをしたいとか、お客さんを呼べるように変わったことをしたいとか。
2019年は忙しさのあまり、僕のノートも乱雑になってて、自分で後から見返してみても、わけのわからない状態になっていることが多かったです(笑)。
大衆演劇の棟梁になられて13年。劇団さんから棟梁に求められる舞台内容は、変化してきたのでしょうか?
(長考して)う~ん。変わってないのかなあ。いや、わからないです。あんまりそういうことを考える余裕もなく、あれよあれよで来ているので、ひょっとしたら色々変わっているのに僕自身が気が付いてないのかもしれないし、実際やっぱり変わってないのかもしれません(笑)。
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