かんげき2023年7月号Vol.79

舞台裏の匠たち第10回神戸の床山チーム「中川かつら」(4/4)

取材日:2023年4月15日
舞台裏の匠たち 第10回 神戸の床山チーム「中川かつら」 (4/4)

椅子に座り、作業を三人で分担

椅子に座って作業。左から原田さん、中川さん、平川さん
中川さんは女形の鬘の、癖を取る作業中です。
「だいたい、鬢(びん)のところにウェーブが付いてしまうんです」
櫛を入れて癖を取っていきます
中川

いま、僕たちはこうやって椅子に座っていますけど、本来は地べたに座ってやるものなんです。椅子に座っているのは、うちぐらいです(笑)。

 

そうなんですか!でも長時間作業ですし、椅子のほうが足腰には良さそうな気がします。

中川

はい、地べたで作業すると、まず腰をやられてしまいます。それに、立ち上がったときにフラっとします。だから椅子のほうが良いんじゃないかと思って、東京から戻ってきてから、僕は椅子でやることにしました。出張のときは、座布団の上に座って作業しています。

 

三人でどのように仕事を分けているのですか?

中川

この人(原田さん)には、毛を染めたり、ざんぎりとか前をセットするものをお願いしています。この人(平川さん)には、癖直しと、立ち役の鬘をやってもらっています。いなせとか、二つ折りとか、御家人とか。僕は、女形専門です。

 

効率的な分担制ですね。

中川

そのほうが早いし、僕が楽できるでしょ(笑)。

原田みゆきさん。
中川さんの弟子になって22年。元が茶色だった鬘を、黒に染める作業中です
平川章恵さん。
中学を卒業して、すぐに中川さんの弟子になり、16年。癖がついた鬘を梳く作業中です
貼り出された予定表。いま進行中の仕事を、ひと目で把握できます
千鶴子

どれから先にやるべきかわかるよう、下に貼ったほうから進めています。

 

たくさんの劇団さんに信頼されていることがわかります。

中川

4人もの親方さんについた床山さんは、たぶん少ないので、よそにはない色が鬘に出てくるのかと思います。だから、ありがたいことに、うちの仕事は重宝していただいています。櫛さえあれば、どこに行っても通用する。この技術が、財産ですね。

中川かつら

公式サイト

神戸市灘区鶴甲2-3-1-208

担当:090-3057-3903

事務所:078-851-1006

編集後記

多世代が、いきいきと働いている「中川かつら」。伝統の技術を芯に置きつつも、職人の体を大切にし、作業効率を最大限発揮できるように「チーム化」「仕組み化」されていることが、わかりました。

大衆演劇の幕内も、現代社会とともに大きく変わっています。大衆演劇を支える人々も、また然り。持続可能な、職人の現場を見ることのできた取材でした。

取材:お萩
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