KANGEKI2023年1・2月合併号Vol.75

特集劇団花車密着取材!姫錦之助・姫勘九郎インタビュー

劇場:羅い舞座 京橋劇場取材日:2022年11月23日
特集 劇団花車 密着取材! 姫錦之助・姫勘九郎インタビュー

座長 姫錦之助
インタビュー

それぞれの個性を楽しんでもらいたい

座長 姫錦之助ひめ きんのすけ

初日のお芝居だった「新・湯島の白梅」

今日のお芝居についてお聞かせください。

錦之助

これは以前、よく初日にかけていたお芝居でした。いっときの間、そうでしたね。初日といえばこの芝居。今日は5年ぶりかな、すごく久しぶりに演りました。

劇団の看板のようなお芝居だったのですね。

錦之助

はい。わかりやすくて笑いもあって、いいお芝居だと思います。

たくさんのレパートリーをお持ちと思いますが、花車と言えばどんなお芝居が挙げられるでしょうか。

錦之助

僕が主役をさせてもらうお芝居の中であれば『遊侠三代』。うちの劇団で、これは絶対真似できないだろうと言えるのは、うちの親父(ゴッド)の藤山寛美先生のお芝居ですね。完成度が高いです。藤山寛美先生のそばでずっと演ってきて、先生の演技をそばで見てきたし、でも、見て来たからて出来るものではないですよね。すごいなあと思います。

座長 姫錦之助ひめ きんのすけ

三枚目は演らせてもらえなかった?!

 

錦之助座長は演られたことはありますか?

錦之助

ないんです。僕は三枚目を演らずに育ってきたので…。親父がさせなかったし、お袋(夢路京母)は、僕が顔を汚すことはやめてくれって言っていたくらいで。今でもちょっと傷つけたり、何か顔につけることでも嫌がる。母的には(三枚目は)やめてほしいわけです(笑)。僕自身は、いろんな役をやってもいいと思うんですけど。

 

ご兄弟でそれぞれ個性があり、役どころが分かれていますね

錦之助

ですねえ。お化粧にしても全然やり方が違う。

 

それは元々そうだったのでしょうか。

錦之助

それぞれ意識して変えたんじゃないですか。『同じじゃいけん』と。

座長 姫錦之助ひめ きんのすけ

節目と変化の時期

 

二代目姫京之助座長の襲名、ゴッドの50周年、姫海老之助さんの新たな世界への挑戦など、劇団として変化の時期でしたね。

錦之助

今月で海老之助がいなくなり、人数が減って劇団としてはこじんまりしてしまうかもしれませんけれど、みんなそれぞれいろんな色があるので、それを楽しんでいただければと思います。

 

新たな世界に挑戦する海老之助さんですが、いつでも戻って来れるようにしておきたいと、おっしゃっておられましたね。

錦之助

はい。まず僕がそう望みますし、そういう形をとっておいてやりたいなという気持ちです。

姫海老之助ひめ えびのすけ

買い物とお笑いでリフレッシュ

 

ありがとうございました!最後に座長のオフの過ごし方を教えてください

錦之助

買い物ですかね~。僕、買い物とテレビが好きなんですよ。お笑い番組ばっかり、ダウンタウンが好きなんでそればっかり観てますね(笑)。

 

そうなんですね。お気に入りの番組はありますか?

錦之助

お笑いでもコントよりバラエティが好きなんです。『水曜日のダウンタウン』『ダウンタウンDX』とか。松本人志さんがキメキメのところで落とす、あの感覚が好きですね!

座長 姫錦之助ひめ きんのすけ

座長 姫勘九郎
インタビュー

「もっともっと」という思いがいつもあります

座長 姫勘九郎ひめ かんくろう

「新・湯島の白梅」の思い出

 

今日のお芝居は劇団でも長くやられているとのことですが、何か思い出はありますか。

座長姫勘九郎(以下 勘九郎)

このお芝居ではお袋(夢路京母)の思い出が大きいかもしれないです。お芝居が終わってから父(ゴッド姫京之助)から怒られてたなーって。お互いまだ若かったので『ここが違う!』『俺はこうしたいんだ』と、言い合っていた印象がありますね。

 

白熱した舞台袖だったのですね。小さい頃に見ておられたのですか。

勘九郎

見てました。僕は花道の幕を開けてたんで、(花道から)ゴッドが入ってくるなりワッと怒って(笑)。もっともっと、という思いがあったんだと思います。僕らもそうですけど『もっとこうできるやろ!』って。

 

ご兄弟間でも演技について言い合うことはありますか

勘九郎

二代目には言うことはありますね。『ここはこうしてほしい』とか『こうした方がいいんじゃない』とか。でも、お互い芝居の仕口もやりたいことも違うから、自分の考えを押し付けることになるので、基本あまり言わないかな。

左より 姫勘九郎、二代目姫京之助

みんなが主になるお芝居があれば

 

劇団にはたくさんお芝居があり、レパートリーも幅が広いと思いますが、勘九郎座長はどんなお芝居が花車らしいと思われますか。

勘九郎

なんだろう。お芝居で、ですよね。今、探している途中のような気がします。ゴッドが全盛期で走っていた時、お客様が好んでいたのは『四十両の行方』『身がわり忠治』『戻り橋』この3つがテッパンだったんです。ゴッドのね。

今、それぞれのテッパン…僕だったら『桜』『次郎長』『座頭市』とか。劇団には今、主になる人間が4人いて、それぞれが主になるお芝居はあるけれど、みんなが主になるというのは、なかなかない。だから探している途中です。見つかったら、すごい強みになると思います。

 

お芝居は作られることは?

勘九郎

昔は書いてました。今は二代目がほぼほぼやってくれるようになったんで、任せてます。

 

創作は二代目が。

勘九郎

そうです。だから僕は踊りの振り付けとか、舞踊の曲を提供するのが僕の役割になっています。

 

ラスト舞踊は最近作られた中では、どんなものがありますか。気に入っているものとか…

勘九郎

僕がアレンジした『田原坂』と『新撰組』が、ちょっといいんじゃないかなって思います。

 

舞台袖で撮らせていただいたラスト舞踊「恋」は、ドラマチックな演出ですね。

勘九郎

これは親父が10年近く前に文楽劇場でやった時の中舞踊です。かっこいいですよね!

 

まさに「玉手箱」のような…

勘九郎

そうなったらいいですけどねえ(笑)。僕はダメなところばっかり目が行くタイプで、こういうところがダメだなあって、35歳になってつくづく思うようになりました。

若い時、親父が『見れば見るほど難しい』と言っていた意味が、やっとわかるようになりましたね。1年前の自分より、今の自分の方が良くなっていないといけないじゃないですか。それなのに、初めてやる芝居と、2回目の時と比べると、2回目の方が悪かったりするんですよ。慣れが出て、至らないことをしゃべろうとしてしまう。もっと精進しようと思います。

座長 姫勘九郎ひめ かんくろう

毎日10分の反省タイム?!

 

やるほどに新たな壁が見えるということでしょうか。

勘九郎

成長したからこその壁だと言えたらいいのですが、もっと高みを目指したいですね。
僕は後ろを振り向かないタイプなんですけど、自分の納得いかないことがあったり、もっとできるのになっていう落ち込みが、毎日あります。

それで、寝る前に10分ほど振り返って反省するんです(笑)。これは18歳くらいからやっています。そうすることで、ちょっとマイペースになれました。

座長 姫勘九郎ひめ かんくろう

YouTuberと大衆演劇役者の共通点

 

最近のリフレッシュ方法やお気に入りはどんなものがありますか?

勘九郎

YouTubeをよく見ますね。

 

どんなチャンネルがお好きですか?

勘九郎

有名な人ではヒカルさん。なんか自分と共通点…負けん気の強さとか、自分の発言で自分を駆り立てて、実行に向かわせるところとか、自分と被るところがあっていいなと思いながら観てますね。

 

なるほど!YouTuberと大衆演劇の役者さんは似ているところがあるように思います。

勘九郎

共通点、ありますね。わざと強気なことを言って自分を追い込んだりしますから。

 

ビッグマウスでも言った本人自身を追い込んでいるから、嫌味じゃなく聞こえるのかもしれません。

勘九郎

そうですね、ユーチューバーさんと大衆の役者さん、確かに似てますね!

座長 姫勘九郎ひめ かんくろう

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