江戸の町娘・八百屋お七が、平成の神戸のまちに現る!?
八百屋お七ーー
“八百屋の娘お七は恋人の寺小姓の吉三郎に逢いたい一心で、火の見櫓に登り太鼓(半鐘)を打つ。木戸番が火事だと思って木戸を開ければ、吉三郎に逢いに行くことができるから。しかしそれは江戸の町では重罪にあたることだった…”(歌舞伎「伊達娘恋緋鹿子」(だてむすめこいのひがのこ)より)
「・・・なーんて話になってしまったから、みんな私のこと情念深い女って思ってるみたいだけれど、そうじゃないの。私は、ただ・・・」
「高いところが大好きなの!!」
ここは平成、港町・神戸メリケンパーク。
江戸時代からタイムスリップしてやってきた八百屋お七がポートタワーに向かって歩いています。
「嬉しいわ〜 ここに高い櫓があるんですって」
「お七さん、鬘、鬘」
「あら、いけない。高いものを見ると気が急いでしまうのよね」
「吉三郎様、早く行きましょう」
「う、うん」
「あら、役人さん。なんでいるの」
「危ないから見張っとけって言われたんですよ。お七さん、何やらかすかわかりませんからね」
(実はお七に負けず劣らず高いところが好き)
吉三郎だけが浮かない顔。
「そ、そんなことありませんよ(ヒクヒク)」
さあ、ポートタワーに到着。
「みなさーん 準備はいいですかー!?」
「はーい」
と、いよいよ憧れのポートタワーを目指すお七。ところが
吉三郎「俺、やっぱ無理」
お七「ち、ちょっと吉さん? 引っ張らないで」
吉三郎「お七・・・俺、俺・・・」
「高所恐怖症なんだよ〜〜!!」
「きゃー、引っ張ったら怖いってば」
役人「さあ、登りましょうぜ!」
お七「待って、吉さんが」
吉三郎「た、助けてくれ〜〜」
吉三郎があまりに引っ張るので、これ以上登ることができなくなったお七。
「仕方ないわね。じゃあこれで我慢しましょう」
役人「こんなんじゃ意味ないですよう」
お七「だって吉さんが登れないんだもの」
吉三郎「(た、たすかった・・・)」
「・・・でも」
「やっぱり登りたいわよね〜!」
役人「おいらも!」
吉三郎「ダメーー!絶対!!」
「ウソウソ、吉さんが怖いんじゃ諦めるわ」
惚れた弱みで諦める優しいお七。
一件落着と思いきや
「江戸に帰って火の見櫓で我慢するわ」
役人「わーそれはダメだってば!!」
お江戸を騒がす高所マニアの伊達娘・お七でした。ちゃんちゃん!
「街にとびだす旅役者シリーズ」第7弾は神戸から。
新開地劇場の6月公演を受け持っておられた橘劇団の橘大五郎座長、良二副座長、
裕太郎花形のお三方が、「八百屋お七」一行に扮してくださいました。
撮影はお天気にも恵まれ、暑い中でしたが気持ちのよい浜風と、ファンの皆様に励ましていただきながら、つつがなく終了。
最後に皆さんと記念撮影。
橘大五郎座長、良二副座長、裕太郎花形、並びにファンの皆様
誠にありがとうございました!!
当日撮影いたしました写真は”KANGEKI10月号”(2017年9月1日発売)の表紙を飾る予定です。ぜひ手にとってご覧いただきたく、どうぞよろしくお願いいたします!