旅芝居女優名鑑第3回藤乃かな(4/5)
第4章
これからも”女必殺仕事人”でありたい
フリーランスとして舞台に立つ。活動は不定期。
普段は地元の熊本の家で暮らしていて、普通に仕事もしています。叔母に誘われて始めたんですが、私、こどもの頃から舞台以外の勉強をしたことなかったので、色々覚えるのが楽しくって(笑)。
長女のゆなは、4月から中学2年、長男の新太は小学6年生になりました。2人とも元気です。 辞めた座員たちとも今でも交流していて、声をかけたら集まってくれます。
これからの夢は?
2018年に朝日劇場で自分の主催で「初蕾」の特別公演が出来たので、2回目の特別公演をやってみたいです。その時はまた違った形で。
山根大社長が座長大会の時に「女必殺仕事人」と言ってくださって、嬉しかったですね。 これからもそうありたいです。立てる舞台がある限り、藤乃かな、頑張ります!
もしも男だったら…
最後に、男だったらよかったと思ったことは?と尋ねると…
(即答で)ないです。
これはあくまで私の場合ですので、誤解のないように聞いてほしいんですが、もしも私が男だったら、あんまり勉強しないクソみたいな役者になっていたと思ってます。
男に生まれるだけで得だと思ってるから。
若い時は身内に守られていたので、あまり不自由はなかったですね。
これも私の場合ですが…
若い女優さんに伝えたいことは、お芝居を大事にして欲しいということ。
大衆演劇には、大舞台でも歌舞伎でも映像の世界でも出せない良いところがたくさんあるじゃないですか。大衆演劇の女優であることに誇りを持って欲しい…なんて私が言うのはおこがましいですが…。
化粧1つにしても、大事にしてる人を見ると嬉しくなります。そんな女優さんが増えてほしいです。
取材を終えて
2018年7月朝日劇場での「藤乃かな特別公演」でのこと。終演後に劇場オーナーである橋本芳子さんが「こういうお芝居を観ていただきたくて先代は劇場を建てたんです」と嬉しそうに評しておられたのを、今もよく覚えています。
この言葉は「お見送りでお客様がお芝居の感想をたくさん言ってくださった」「座長大会ではなくお芝居を上演するための公演がしたかった」と言う、かなさんの言葉とも重なりました。
「大衆演劇年表」があれば歴史的出来事の1つに記録したい…と、密かに妄想していますーー「2018年7月12日朝日劇場にて、女優が中心となってお芝居を上演する単独公演『藤乃かな特別公演』が開催される」と。