旅芝居女優名鑑第8回座長藤間美香~花組むらさき~(3/6)
第3章
改名とともにステップアップ
3つの名前
ところで、美香はこれまで3回改名しています。
「はじめは【南條ありさ】と言う名前で出ていました。次に【彩姫】になったのですが、その前に、実はもう1つありまして(笑)。【月ノ江彩(つきのえあや)】という名前を、一瞬名乗ってたんですよ。
祖母(初代藤間美香)が、名前に”姫”が付いてる方が可愛らしいから【彩姫】にしたら?ってつけれくれて、すぐに【彩姫】を名乗るようになりまして、【月ノ江彩】はわずか1週間でした(笑)。現在は妹が【二代目彩姫】を名乗っています」
「二代目藤間美香」を襲名したのは、9年前(2013年)、香川県の仏生山に乗った時でした。
「【藤間美香】は、祖母の芸名です。舞台でも楽屋でも優しい人でした。小柄だったのでよく父の娘役をしてましたね。めちゃめちゃ綺麗な人だったんですよ。
私は立役ばっかりやっていて、女役は好きではなかったんですけど、やるなら祖母のようになりたいって。私にとって祖母は憧れの存在でしたね」
その1年後、花形に昇格。
「花形になったと言っても、正式なお披露目をしなかったので、うろ覚えなのですが、確か埼玉の『ゆの郷』に乗っていた時、兄に急に言われまして。うちはいつも突然なんです(笑)」
立役を極めたい
花形になり、出番も増えました。
「色々な役を演らせてもらいましたが、立役を極めたいと思ったのは、市川美蕾さん(いちかわみらい・劇団華)がきっかけです。
雑誌に花魁姿で写っている写真を見て、どうしても生で見たくて行ったら、美蕾さんが立役を演っておられて、それがもう男にしか見えないんです。
女の人が男をやってます~じゃなくて、本当に男にしか見えない。かっこいい!そこから自分もそうなりたいと思うようになりました。
声は、もともと高い声だったです。それがコンプレックスでずっと稽古してました。声が潰れて、少しは男ぽい声が出せるようになったかも」
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