木戸番のエッセイ・天職先は大衆演劇!第11回寿かなた~劇団寿~後編(2/4)
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かなたの再デビューは平成30年4月、なんと筆者にいる「あがりゃんせ劇場」であった。
筆者と女優は初対面である。お互いの自己紹介のあと、筆者は思った。 「この女優。太っている」
舞台の女優は、芝居も踊りも緊張していて、こちらにまでその緊張が伝わってくる。 しかし、新鮮だった。
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そして、恵のデビューから4年の時間が経過して「劇団寿」は、令和3年10月に再びあがりゃんせ劇場に乗っている。
今度は、寿かなたは、やせて、いい女優になっている。 舞台の芝居も踊りも自信に満ちている。 いまや「劇団寿」のトップ女優となっているのだ。
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筆者は彼女と立ち話をした。
「今、エッセイを書いているけど、君はまるでジェットコースターにのっているような人生だね」
「そうですね。まさに波乱万丈でした。だた3年が節目になっているような、神様の筋書きですね」
「なるほど。伍代劇団に3年、アルバイトと看護助手で3年、そして受験勉強で3年、看護師で3年やったね。しかし寿に入って4年目になろうとしている。神様の筋書きがかわったということか。ここには長くなりそうやね」
「そうですね。ここ(劇団寿)で役者として有名になりたいと思っています」
「看護師免許をもった大衆演劇の女優ということで全国でも珍しい。十分有名になる要素はあると思いますよ。後は、他の女優にない、何かをもてば…」
さて、座長の寿翔聖に「寿かなた」にどうなってほしか、訊いてみた。
「大衆演劇の『寿かなた』のような女優については、まずは『個性』が一番ですね。 芝居についていえば、立ち役であろうと、女形であろうと、老けであろうと、今以上に与えられた役に磨きをかけてもらいたい。
また、踊りについては、かなたらしさを忘れることなく、けいこにけいこを重ねて、舞踊で舞台を引っ張ってくれるような女優になってほしい。 要は、芝居でも舞踊でも、引き出しの多い女優になってほしいということです」