木戸番のエッセイ・天職先は大衆演劇!第14回初音きらら~劇団あやめ花形~前編(3/3)
Ⅱ
親が知り合いだった春田先生の試技をみたのが、器械体操との出会いだった。 その強さと美しさに、こころを奪われた。それから、すぐに薫は、春田先生が指導している「須磨ジュニア体操クラブ」に入った。
その日から、器械体操漬けの日々が始まった。1週間の内、5日はクラブに出かけ、平日は1日4時間以上、土・日は6時間以上、練習している。
薫の場合は、選手コースだったので、周りの選手たちもそれくらいしっかり練習し、そんな日々はむしろ日常であった。その中で、当然、ライバルも生まれてきて切磋琢磨しながら技を磨いていった。
女子の場合、器械体操は、跳馬・段違い平行棒・平均台・ゆかの4種類である。
小学生でも、この4種目をこなす。
薫の「ゆか」には、クラブ内でも定評があり、本人自身も自信をもっていたが、しかし問題は、平均台であった。
苦手意識があると、試合結果に影響する。
その分、余計に練習をするわけだが、平均台の成績は良くはなかったが、兵庫県ではだれもが認める優秀な選手であった。
夏に行われる、兵庫県の体操の大会では、種目別の「跳馬」では優勝して金メダルを獲得している。
また、個人の総合でも、銀メダルを獲得している。また、団体では「須磨ジュニア体操クラブ」は、金メダルをとっている。
それくらい「須磨ジュニア体操クラブ」は強かった。
地元の兵庫では常勝チームであり、近畿でも上位にいて、全国にいった経験もある。
だた、時間は待ってくれない。中学生で「須磨ジュニア体操クラブ」は卒業である。
薫もコンピューター関係の高校に入学を果たしたが、「須磨ジュニア体操クラブ」の燃え尽き症候群で、高校にはなじめなかった。
そんなとき、姫猿之助が座長として率いる「劇団あやめ」を旗揚げしたのである。
(次号につづく)
プロフィール
小野直人
生年月日 | 1953年 |
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1953年 滋賀県大津市生まれ。日本大学・農獣医学部卒業。
小野牧場オーナー、総合学習塾 啓数塾塾長、構成作家(テレビ、ラジオ)を経て、現在は、あがりゃんせ劇場の木戸番として、多くの大衆演劇の劇団や幅白い大衆演劇のファンと交流をもつ。「KANGEKI」で「木戸番のエッセイ」を連載中。
劇団情報
劇団あやめ
平成23年(2011)旗揚げ。 座長の姫猿之助は劇団花車の姫京之助ゴッドの次男。 劇団花車時代より、自らデザインした斬新な衣装を次々と発表するなど異色の存在として注目を集め、2008年にはパリ・オペラ座での公演を成功させるなど、大衆演劇の枠を超えて活躍。 旗揚げ後は座長のもとに集まった座員と共に研鑽を積み、独自の舞台を繰り広げ、客を魅了する。 2021年に劇団結成十周年の節目を迎える。
劇団あやめ公演予定
- 2025年1月新開地劇場(兵庫県)
【劇団夢道公演】ゲスト(1/1~23):劇団あやめ