KANGEKI2022年7月号Vol.70
木戸番のエッセイ・天職先は大衆演劇!第17回染弥あかり~劇団紫吹~後編(3/4)
Ⅳ
夫婦として、劇団での仕事が始まった。
あかりは、菊也の面倒を見ながら劇団の裏に入る。 旦那は役者でバリバリ働く。あかりは理想の形を作ったようだが、座長の紫吹洋之介は、あかりの心を読んでいた。
「あかりちゃんは、舞台が好きなんだろう。しかし、今は自分に自信がないだけじゃないのか。どんどん舞台にでればいいのに」
そんなさりげない座長のアドバイスをうけて、悩んで、考えて、3日4日で芝居に出た。 舞台は緊張するが、なんともいえない充実感があって、その後も出演をした。
29歳になった今は、染弥あかりとして、芝居に踊りに精いっぱいに務めている。
さすがに、北の国青森の生まれ、華奢な体ではあるが芸に根性を感じる。
筆者は夫の愛染菊也とも旧知の仲である。 いい役者であるし、いい男である。 二人で踊る「相舞踊」にも、筆者のみならずファンが多い。
これからの「染弥あかり」の将来に、まばゆい明かりがつくように、期待する。
プロフィール
小野直人
生年月日 | 1953年 |
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1953年 滋賀県大津市生まれ。日本大学・農獣医学部卒業。
小野牧場オーナー、総合学習塾 啓数塾塾長、構成作家(テレビ、ラジオ)を経て、現在は、あがりゃんせ劇場の木戸番として、多くの大衆演劇の劇団や幅白い大衆演劇のファンと交流をもつ。「KANGEKI」で「木戸番のエッセイ」を連載中。
劇団情報
劇団紫吹
平成21(2009)年4月、若葉劇団で研鑽を積んだ紫吹洋之介座長が旗揚げ。 座長を中心として個性あふれるメンバーだが結束は固い。 各人の持ち味を大切に生かしながら舞台を繰り広げている。 深みのある人情芝居に定評がある。