KANGEKI2022年9・10月合併号Vol.72
木戸番のエッセイ・天職先は大衆演劇!第19回あつし~花柳願竜劇団~後編(4/4)
劇場:スパリゾート雄琴 あがりゃんせ

Ⅵ
今日も、舞踊ショーが始まっている。後半には生演奏がある。 リードギターの香賀峰子が、今日は、アルトサックスを担当している。 座長は、昔懐かしいスティールギターを弾いている。なかなかのハーモニーである。
音楽のみならず、劇団のハーモニーが、花柳の身上であろう。
筆者は思う。
『花柳願竜劇団』は、家族を中心に、あつしをはじめ若手役者で構成している。 決して大きい劇団とは言えないが、この体制ができて5年である。 まだまだ、新しい。
しかし、大衆演劇を支え、守り、新たる境地を発掘している姿に、将来性を考えてみると、どこかでエレキギターのトレモログリッサンド(※)の音が聞こえてきたのは、空耳だったのであろうか。
※トレモログリッサンド・・ベンチャーズのギターで有名な「でんでけでけでけ」のこと。

プロフィール

小野直人
生年月日 | 1953年 |
---|
1953年 滋賀県大津市生まれ。日本大学・農獣医学部卒業。
小野牧場オーナー、総合学習塾 啓数塾塾長、構成作家(テレビ、ラジオ)を経て、現在は、あがりゃんせ劇場の木戸番として、多くの大衆演劇の劇団や幅白い大衆演劇のファンと交流をもつ。「KANGEKI」で「木戸番のエッセイ」を連載中。
劇団情報
花柳願竜劇団
関西大衆演劇親交会所属。座長の父・花柳武雄の師匠である女剣劇役者・大内洵子の代から続く劇団である。
昭和45年(1970)花柳武雄が受け継ぎ、「花柳武雄劇団」となる。
創立当初は松竹の劇団として小劇場、外国公演を経験し、昭和46年(1971)より大衆演劇へ転向。
里見劇団・初代里見要次郎を師とし、二年の修行を経て、昭和48(1973)より旅回りの大衆演劇劇団として始動。
平成元年(1989)花柳願竜が座長を受け継ぎ、「花柳願竜劇団」と改名。
“お客様との心のふれあい”を大切に、歌舞伎演目から現代劇、喜劇、剣劇、人情劇、生バンド演奏と幅広いジャンルで魅せる。
中でも、しっかり笑わせしっかり泣かせる人情劇に定評がある。
お客様からのリクエストにそって演奏する生バンドは劇団の大きな特徴の一つでもある。
演歌はもちろん、民謡や懐かしのベンチャーズメドレー、本格的なギター・ドラムソロまで。バラエティ豊富である。
劇団創立45周年を迎え、さらなる前進が期待される。
「心の奥に隠れている感情を思い出し、感じていただくべく、
舞台とお客様との呼吸、ふれあいを大切にお芝居を進めてまいります。
お客様と舞台を一緒につくりあげるという精神のもと、
おひとりおひとりの感情に寄り添う大衆演劇ならではのお芝居をお楽しみください。」
劇場情報
スパリゾート雄琴 あがりゃんせ
滋賀県大津市苗鹿3丁目9-5